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そして生活そのものを環境保全型にしていくことを日野地区のテーマにすることが大切です。これらは、滋賀県の「創意と工夫の郷づくり事業」や「近隣景観形成事業」等の活用が考えられます。滋賀県では多くの地区でこれら事業が実施されています。何気ない形で保全育成することが重要で、整備するというより、ソフトなシステムづくりが必要なのでしょう。

 

(3) 暮らしを活性化する

歴史資源を最大限に活かした暮らしのシステムを構築する

住む環境としては、日野の中心市街地にあり、水や緑の自然環境、町並みの歴史環境等のアメニティ資源に囲まれた極めていい条件にあります。

停滞している商業については、広域化している大規模店舗と同じような商店街構成は望むべきものではありません。地域と密着化し、より利便性を高めたいわばコンビニエンス商店街か、広く顧客を求める観光型の商店街しか生きる道はないでしょう。そのどちらを取るにしても、歴史的な資源を活かすことが鍵になります。長浜の黒壁界隈や、彦根の夢京橋等は歴史的なイメージを最大限に活かして、活性化を図っています。商業は何といっても個店の努力が最も基本ですが、その商業イメージを皆の手で作り上げることは出来ます。

 

6-4 訪れる人に丁寧なまちづくり構想

 

(1) 受け入れ体制の整備

訪れる人に親切丁寧なまちづくり

まず、訪れる人に親切で丁寧なまちとすることが第一です。少ないながらそこここに立つ説明板が好評なように、訪れる人に丁寧な説明、案内が必要です。日野駅前の案内板、街道案内サイン、ガイドブック等は最低限必要です。ボランティアガイドの育成は大事なことです。地区の皆さんが訪問者に丁寧に応えていくことが基本となれば、常時つめていなくとも、連絡と案内システムがあればそれ程無理なくできます。まず、そこから出発することが大切ではないでしょうか。

 

拠点、休憩、飲食施設の整備

日野地区を見て回ってもらうためには、最低限の受け入れ施設が必要です。現在そのための施設として日野商人館がありますが、今後は交流とまちづくりの核となるような施設の設置が最も望まれます。その候補としては町が買収した「旧正野薬店」が最も望ましいといえます。施設内容としては、休憩場所、トイレは当然のこと、歴史資料展示、交流、イベント開催といったことのできる施設が望まれます。これらを活き活きとした運営としていくのは日野地区の皆さんの力によります。さらに拠点のほかに、訪れる人が時々休憩したり、食事をしたりできる場所が必要です。これには行政だけではなく、民間活力が必要です。

 

(2) 歴史を体験できるものの充実と歴史観光商業の推進

見所の整備

日野地区には、歴史が豊富に眠っています。しかし、日野商人館以外に自由に見れる施設や建物がありません。通りからは自由に見れますが、やはりもう少し奥まで見れるところ、見せ場がほしいものです。既存のお店等を見学できるシステムとともに、日野地区らしい日野商人の旧家や町屋の公開民家がほしいところです。その他寺社等の公開方式も検討の余地があります。直ぐにでも取り組めることとして、大阪市平野のまちづくりで取り組んでいる「地域のお店が一部開放して収集したものを展示する」民間博物館をいくつも設置するということがあります。

 

 

 

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