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第6章 日野町並み保存・活用マスタープラン(提言)

 

6-1 町並み保存・活用の基本方向

 

(1) 日野地区まちづくり方針の前提

前年度のワークショップと今回の調査によって、日野地区の良さや抱える問題点・課題がいろいろと浮かびあがってきました。まちづくり方針を設定するにあたり、まず基本的な考え方を整理したいと思います。

 

かけがえのない歴史的資産と自然環境

調査に参加した内外の人達の声をまつまでもなく、日野地区はかけがえのない歴史的資産と自然環境をもっています。歴史的建造物の残りぐあいや自然環境の重要度が、全国の他のところと比べてどうかというような問題ではなく、暮らしの中で地元の人達が自分達の地域文化をいかに守り育てていくかが最も大切なことです。それとともに、全国の人達が、貴重な自然と町並み・祭りを維持していってほしいという願いをもっていることも忘れてはならないことです。

 

守り育てていく主体は日野地区の人達

本調査に参加した専門家や町の行政関係者、地区外のワークショップ参加の人達も日野地区を愛しています。そして今の町並み・自然を守り育てていけるようにといろいろ考えています。しかし、あくまで日野地区を守り育てていくのは、日野地区に住む人達です。その選択が全く新しいまちにしていくことを選ぶことも考えられます。いずれにしても、自分達の地域を自分達の手で創り上げていくこと、その上手なシステムをつくるのが一番大切なことといえます。

 

(2) マスタープランのねらいと位置づけ

これからの整備方向の指針

この提言は、これからの整備方向の指針を示したもので、すぐに事業化を前提としたものではありません。事業化については、これから地元住民と町、県、国等の行政が力を合わせて実現していくものです。したがって、形やしくみに対する提案はもとより、それぞれの役割分担とパートナーシップのあり方を主として提案しています。

まちづくりは、単に一つの施設ができて終わるのではなく、継続が重要であり、総合性が確保されなくてはなりません。その意味では、実現へのプロセスを重要視した計画となっています。いわば、これからのまちづくりの出発点としての位置づけを持っています。

 

この基本構想をまちづくりの一つのたたき台として

この日野地区まちづくりマスタープランは一つの考え方です。しかし、日野地区を多方面に渡り調査し、ワークショップを積み上げて、専門家、住民皆で創り上げた一つのプランです。

この構想をこれからのまちづくりの一つのたたき台として、一歩一歩実現にむけて皆で取り組んでいくことが大切です。異論もあるでしょう。反論もあるでしょう。それを皆で議論しながら進めていくことをなにより期待します。

 

 

 

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