5-2 第1回調査委員会
(平成12年7月31日)
第1回調査委員会では、日野祭りと桟敷窓の保存と活用についての貴重な意見が多く出されました。その中で、保存の意義と重要性が確認されるとともに、若者の定住等根本的な問題の重要性も語られました。桟敷窓の一般開放や女性も含めた祭りのあり方の再構築が重要な鍵の一つになるだろうと議論が展開しました。
●曳山の状況はどうなっているのか。
●16基、16町内に分かれている。
●日野の町並みの特徴は、桟敷窓に象徴されていると思う。祭りと暮し方が桟敷窓を通して見事に息づいている。桟敷窓の景観は、全国に類例がない貴重なもの。但し、今のままでは個人的なもので閉鎖的。祭りのときに桟敷窓を一般に開放し、ワークショップをやるなどの工夫をしたらどうか。
●昔は、京都の祇園祭と同様に日野祭りも「屏風祭り」でもあった。桟敷窓を開けて祭りをするのは大変な労力。単に桟敷窓を開けるだけでなく、しつらえや接待の準備等で一家総出でやらなくてはならない。新町でも桟敷窓が残っているのは25軒程あるが、祭りの時にあけているのは10軒程度。
●空家の発生が多い。桟敷窓をもっている家の3軒が空家。
●もともと日野商人宅は留守宅で、祭りの時だけ帰ってきて楽しむというのも多かった。その伝統も薄れつつある。
●日野商人が出て行ったプロセスが今急激に進行している。出て行くと桟敷窓がなくなる。
空家になる。活気がなくなる。出て行く原因を断ち切る必要がある。暮らしと保存を全体として捉えることが大事。保存を図るなら、地区を絞ってやった方が良い。
●空家が増えることと、自動車の普及で駐車場が増え、町並みに穴をあけている。駐車場も補助金を出したりしながらコントロールすることが大事では…
●町並み保存は老朽化が進んできているので難しい問題だ。建替えの時何を選ぶかというと、道路も整った区画整理地で現代的な建物が便利ということになってしまう。
●桟敷窓を守るということは、祭りを守るということだ。祭りの維持自体が年々困難になってきている。
●我が家では、建替えに際して町並みに合わせた建物を考え、桟敷窓もしつらえた。しかし、町はそれを評価してくれない。補助金も必要だろうが、町当局の基本的な精神が重要と思う。
●いたずらに補助金で対応するのは問題が多い。保存も生き物を育てるという感覚で自ら守り育てるという気概が重要。意識啓発が一番大切では…。
●江戸時代の建物だけでなく、貴重な洋館もある。それもあわせた保存方策が必要と思う。
●桟敷窓を個人(商人)のものから町民全体、訪れる人にも利用できるようにすべきだ。
●我が家では、たまたま祭りの時に一般の人を受け入れたことがあり、非常に感動された。しかし、一般的にはほとんど行われていない。祭りの維持だけで大変といった風潮がある。
●10年先を考えると祭りの維持を真剣に考えなくてはならない。若い人がいつく環境作りが急務だ。
●日野祭りは接待が大変で、女の人が祭りを実際に見たことがないとも聞いた。そんなことではいけない。女の人も見て楽しむ環境作りを考えるべきだ。
調査では、専門的な建物調査等とともに、町民の意識啓発につながるようなやり方が望ましいことが確認されました。