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写真-1でも明らかなように、エドマは氷とその間に円柱状の凍土が規則的に分布している。ここではエドマ層の厚さは約30mである。図-3にシベリアでのエドマ層の分布を示す。レナ河、ヤナ河、インジギルガ河、コリマ河の下流ないし中流域と、北極海沿岸域に限られている。地下氷の部分が融解して大地が陥没することや、写真のような垂直な崖が急速に後退することから、現在の気候環境下では、エドマは極めて不安定になっていることが分かる。エドマ層の成因に関連して、レナ河デルタ・新シベリア諸島(大リャホフスキー島)、北極海沿岸(オイヤゴルスキーヤール)で、氷と凍土についての調査を1992年-1997年まで実施した。

 

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図-3 エドマの分布

 

地下氷には多数の気泡が含まれている。その例を写真-2に示す。縦筋構造が観察されまた、粘土が縦方向に混入している様子が見て取れる。さらに氷の中には、細長く延びた気泡があり、氷の体積の約10%を占めている。こうした地下氷の構造は、他の氷河氷とは大きく異なっている。この氷を薄片にして結晶構造を分析したところ、縦方向の構造は、細かい結晶とその間の比較的大粒の結晶とが順番に配列していることが分かった。また大粒の氷結晶のC軸方位は、まったくのランダムで、これも氷河氷とは異なった特徴である。

 

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写真-2 エドマ氷

 

 

 

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