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ジェズカズガン鉱床の硫化物鉱化作用を限る灰色砂岩は、不毛の赤色から褐色の粘土岩とシルト岩を挟む。鉱化は9層準で認められ、これを単元(unit)と呼ぶ。下部単元の鉱床は緻密な高品位鉱体で、上部単元の鉱床は灰色砂岩中に分散した多数の鉱体で特徴づけられる。各単元は2から4層の鉱化灰色砂岩を含む。鉱化作用は、タスクドゥックとその上位のジェズカズガン層中に認められる。タスクドゥック層は、砂岩、シルト岩、粘土岩の互層からなる。砂岩は細粒・灰色で、淘汰がよい。斜交層理はないか、極端に稀である。地層内礫を含む。本層は、特に下部で多数の植物化石を含む。ジェズカズガン層は、灰色鉱化砂岩と赤色シルト岩および粘土岩からなる。この地層は、地層内礫と地層間礫を含む。タスクドゥック層中の鉱体は広い範囲に拡がり、厚い灰色砂岩(平均層厚19m)に伴う(図16)。ジェズカズガン層中の鉱体はやや薄い砂岩に伴う。

タスクドゥックおよびジェズカズガン地層内には大輪廻が認められる。これらの輪廻は、2から6あるいはそれ以上の層からなる灰色鉱化砂岩と赤色シルト岩および粘土岩で構成されている(図16)。赤色層の上の大輪廻の基底では、しばしば斜交層理が見られる。鉱化層は侵食された赤色層の上に存在する。この層には、多数の地層内および地層間礫が含まれている。大輪廻の下部と中部の鉱化砂岩の堆積環境は潟―三角州盆地である。各輪廻の基底から上部に向かって鉱層の分布範囲は徐々に減少し、紡錘状に変わる。大輪廻内には中輪廻が存在する。この輪廻は下位の灰色鉱化層と上位の赤色シルト岩および粘土岩からなる(図17)。各大輪廻は2ないし3の中輪廻を含む(図16)。各中輪廻がそれぞれの鉱層に対応する。ジェズカズガンの中央鉱床帯には、25の中輪廻と同数の鉱床が存在する。中輪廻は侵食された赤色シルト岩および粘土岩の上に存在する。中輪廻内の灰色砂岩の粒度は、下位で粗粒から中粒、中位で中粒、上位で細粒から中粒、頂部で極細粒と変化する。鉱化層内で層状鉱石は斜交層理と水平層理を周期的に繰り返す。これを小輪廻という。斜交層理の鉱化組織は、中輪廻の下位および中位の粗粒および中粒砂岩に伴う。斜交層理層は、輝銅鉱、斑銅鉱、黄銅鉱、あるいは方鉛鉱からなる。層理の方向が異なると、鉱石鉱物の組合せも異なる(図18)。水平層内の周期は2段、すなわち鉱化層の互層である第1段と、それらの組合せである第2段に分けられる。鉱化層は通常斑銅鉱からなり、ときどき黄銅鉱、輝銅鉱、方鉛鉱など他の硫化物を伴う。この結果、輝銅鉱―斑銅鉱、斑銅鉱―方鉛鉱、斑銅鉱―黄銅鉱、方鉛鉱―閃亜鉛鉱という硫化鉱物の組合せが認められる。水平層は炭化した植物に富む。

 

8. 陸域と大陸棚の資源

岩石圏のうち、大陸棚の鉱物資源の賦存位置は、海底面と海底下に分けられる。海底面には、陸上の地表と同じく、砂鉱床が存在する。マレイ半島沖の砂錫鉱床が最もよく調べられ、開発されている。南アフリカおよび西アフリカの沖、あるいはオーストラリア西岸の沖などでは、砂ダイアモンド鉱床の存在が知られている。砂金や砂白金の鉱床も存在するはずである。これらの海底砂鉱床をいかに発見するかは大きな課題である。

大陸棚の地質は、基本的に大気下(英語ではsubaerial)の陸地と同じと考えられている。したがって、大気下の陸地で見られるすべての燃料および鉱物鉱床が期待される。このうち、最もよく調べられ、大々的に開発されているのが海底石油鉱床である。

 

 

 

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