日本財団 図書館


6.2 熱塩循環

鉛直面内の循環が重要なので、奥行きの薄い水槽を使い、太平洋の南北断面を表現する。このモデルでは、地球の自転は扱わない。南極海に対応する片方の側壁を冷却して、強制的な沈降を発生させ、鉛直面内の循環の様子を流れの可視化で示す。

 

7. 大気大循環

大気大循環の原動力は、緯度方向の温度差である。すなわち、地球が球面で、太陽光線が主に赤道の上空から降り注ぐため、高緯度の地表面が受ける日射エネルギーが低緯度に比べて小さく、その結果、大気の暖まり方に緯度による不均一が生じる。その結果、図10に示すように、低緯度の大気が膨張して

 

045-1.gif

図10 空気の積もり方

 

上空まで延び、同じ高さの空気の積もり方を高緯度と低緯度に比較すると、高緯度のほうが、その高さより上に空気が沢山積もっているために、その加重で気圧が高くなる。その結果、同じ高さでみると、南北方向に気圧差が発生し、空気を高緯度側に押すわけだが、西風が発生して、それに伴う南向きのコリオリの力がこの力に対抗するように働くようになる。しかし、西風は不安定で南北に蛇行し、それに伴って高低気圧が生まれる。そして、高低気圧の移動に伴って天気が変化する。日本など中緯度帯になる国の天気が西から東に変化するのは、このような仕組みによる。

偏西風の蛇行は地球規模で生じるので、簡単に観察するというわけにはいかない。しかし、回転水槽を用いることによって、上に述べたような現象を再現することができる。同心の三重の円筒容器を用いて、それぞれの区画に、中心部は冷水、中間部は水道水、外側の区画には温水を入れ、一定の回転数で回転させる。すると、図11に示すような蛇行する流れが水面に形成され、その内側に高気圧、外側に低気圧の渦が発生する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION