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ここで、xは波の進行方向にとった距離、tは時間、Aは振幅、kは波数、ωは角振動数である。このような波の場合、水面の水は円を描く。図4は、その様子を時間を追って示したものである。正弦関数は水面の凸凹で、時間と共に右に進む。水面の一点にマーク(黒丸)を付けると、マークは、波の周期で1回転して、もとの位置に戻る。水面の凸凹が一方向に進んでも、水はもとの位置にもどるわけである。この図では、マークはひとつしかないが、実際の水面は、このようなマークが無数に並んでおり、それぞれ回転しているのである。回転が連なると、正弦関数のようになることは直感的には理解することが難しい。そこで、それを理解させるための水面の模型を作成した。

 

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図4 水面波(深水波)に伴う水粒子の軌道運動

 

図5は、水面の模型である。図4では、黒丸のマークで水面の水を表したが、図5では、それを沢山並べた。図5(a)は、水面に波がない場合で、水面が平らになっている状態である。図5(b)は水面に波がある場合である。黒丸を連ねた線は正弦関数のように凸凹している。実際の波は、水面の凸凹が一方向に進行する。この図では進行の様子がわからないが、黒丸につけた腕の端を中心軸にして、図5(b)の配置を出発点として、すべての黒丸を一定の回転数で回転させると、波が左から右に進行しているように見える。実際に、そのような装置を作成した。図6は、その写真である。この写真ではわからないが、裏側にモータがあり、すべての円盤が一定の速度で時計まわりに回転するような装置がある。その運動の様子を観察すると、波の伝わり方と、水の動き方の関係が直感的にわかる。しかも、この観察によって、波の振幅とは、水面の水粒子の回転の半径に等しいこと、波の周期は、水が一回転する時間であることがわかる。さらに、振幅が大きくなると、図5(b)に示されているように、波の山は尖り、谷は円くなることが理解される。

 

 

 

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