(6) 寄贈対象大学のモニタリング調査
吉林大学、延辺大学、上海交通大学、黒龍江大学、哈爾浜医科大学、中国医科大学、大連外国語学院及び清華大学の8大学について、寄贈図書の受入対応、学生・教師による寄贈図書の活用状況及び要望等の調査を行い、その結果を取りまとめ、大学の合併などの状況変化等も考慮し、寄贈図書の選定に関する基本的な考え方及び重点分野を一部修正した。
(7) 図書管理システムの研究
業務の質の向上、円滑化及びコスト低減を図るため、「教育・研究図書有効活用プロジェクト業務マニュアル」を作成した。また、医学関係の雑誌については、寄贈図書選定のための既送付雑誌、欠号分を補充する雑誌等の検索が容易に行えるように、既寄贈図書リストを整理し蓄積した。
図書管理のためのソフト開発の専門家を交え、ソフトを開発する場合の仕様等について検討し取りまとめた。
(8) 業務の合理化に関係関する調査・研究
アメリカの財団が中国の大学に図書を寄贈している「亜細亜への橋(Bridge to Asia)」(中国国内の業務代行:大連理工大学)及び「亜細亜基金(The Asia Foundation)」(中国国内の業務代行:上海外国語大学)について現地調査した。
また、図書送付先大学を特定大学に一括し、当該大学から各大学へ配送するシステムの可能性、通関手続きの円滑化及び中国国内輸送の合理化方策についても現地調査した。
(9) 短・中期計画検討会
有識者による「教育・研究図書有効活用プロジェクト」短・中期計画検討会を2回開催しプロジェクトの現在の課題及び将来の計画等について有意義な意見の交換を行った。その結果、有識者からの意見・提案等をプロジェクトの推進に活かすことができた。
2. 事業成果
(1) 本プロジェクトに関しては企業や大学・研究機関の図書館、出版会社その他個人など、多くの方々の賛同を得、かつ、図書提供の協力が得られ、日本における図書収集10万冊余、また、中国大学図書館への寄贈は、10万冊を超え、所期の目標を達成した。
(2) 試行錯誤を重ね本事業遂行上の体験から生れた「教育・研究図書有効活用プロジェクト業務マニュアル」を制作したことは今後の業務の推進と類似事業の実施に資することが期待される。
(3) 輸入書が少ない中国の大学図書館に対してニーズに応じて寄贈図書を送ることにより、中国の大学の教育の充実及び日中学術交流の促進に寄与した。
(4) プロジェクトに参加した日本における関係者及び中国における関係者に対して、学術・教育面での交流の重要性への意識高揚など、社会貢献意識への波及が期待される。
(5) 寄贈図書を送ることにより、日中両国の異文化の相互理解の促進の一助に資することが期待される。