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8月11日(金)

 

○本日のスケジュール・内容

1) 総括ミーティング、帰国

 

最終日、ホテルを発つ直前の約2時間、今回の研修のまとめとして、総括ミーティングの時間を持った。まず、研修全般を振り返っての感想、反省を述べてもらい、そこで出た話題について自由討論を行った。最後に全体へ向けたメッセージをもって総括とした。

 

<感想>

*参加学生について

まず、一様に挙げられたのは、参加学生との出会いへの感謝であった。参加学生は国際保健という興味対象を共有するものの、その捉え方やこれまでの関り方は多種多様であった。同じ物を観察し、同じレクチャーを聴講しても、その感じ方、受け止め方は様々なので、学生同士で啓発しあう部分も大きかったようである。また、同種の問題意識を共有する気のおけない仲間が出来た事は、今後国際保健のみならず、将来を語る上で貴重な財産となるであろう。

 

*プログラム構成について

次に、本プログラムの構成について意見が出た。本プログラムではWHOという国際機関から現地政府機関である保健省、日本の政府機関、現地NGO、地域の中核的医療施設、そして末端の保健施設まで、実に様々なレベルの活動主体が網羅されており、このスケジュールを消化するうちに、フィリピンの保健医療システムの概観が無理なく理解できた。

また、国内研修と国外研修が有機的に結びついている点も特筆された。例えば、マニラ郊外のハンセン病を主とする病院を訪問し、保健省においてハンセン病の担当官からお話を伺った際も、国内研修におけるハンセン病の療養所や記念館での経験を踏まえて比較し、対照とすることができた。

さらに、このことに関連して、物事を多角的に見ることの重要性を感じたとの意見があった。一つの事象でも、それに対する立場、例えば、行政、医療従事者、患者、患者の家族それぞれで利害や主張が異なる事は多い。立場の違いを十分に念頭に置くことが自ずと多角的に見ることにもつながるのであろう。

 

*貧富の差

さて、研修中特に印象に残ったこととして「貧富の差」が挙げられた。貧富のうち「貧」のイメージとしてはPayatasの情景が象徴的に参加学生の脳裏に焼きついているようであった。一方、「富」の象徴としての高級ホテルやショッピングモールでは、日本と大して違わぬ光景が展開していた。

この状況に対する受け止め方には概ね二通りあった。一つは、ショックを受け、その背景にある社会矛盾に疑問や憤りを感じるタイプ、もう一つは、それが現実だと割り切って比較的冷静に見るタイプである。

 

 

 

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