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3月17日(金)

 

○本日のスケジュール・内容

 

・WHO西太西洋地域事務局長表敬訪問

・総括ミーティング

・帰国

 

○Dr. Shigeru Omi:Regional Director表敬訪問

 

WPRO事務局長の尾身先生は、ご自身の超多忙なスケジュールにもかかわらず、我々のためにお時間をつくって下され、帰国の日(3月17日)に表敬訪問というかたちでお話を伺うことができた。

尾身先生は、最初にいくつかの質問をピックアップして、それに関連させながら予定の時間を大幅に超過して、人生論に至るまで熱く語って下さった。

 

西洋主導型の国際協力、国際保健についてどう思うか?

どの分野でも西洋の理論がまかり通っているのは確かにおかしいと思う。西洋では宗教という存在が大きく、技術革命も今までの発展も、神を乗り越えよう、自然を克服しようという考えが原動力になっていた。しかし、自然と共存しようという姿勢、人間も自然の中で生きている一つの動物であるという考え方は西洋にはない。そのような東洋の英知も大切である。東洋医学も玉石混合の状態を整理して本当にいいものを見つければ、西洋と東洋を弁証法で考えていくことができる。結核のプロジェクトでは、東洋医学の考え方も取り入れていこうと思っている。

宗教、文化の軋礫がある時、文化的なsensitivityが大切。相手の国の意見を尊重しながら進める。

色々な人間が集まったほうがよい。人間は一人一人限りがあるので、自分の立つところをしっかりと持った色々な人間が、持って生まれたその人の分を生かすように働けたらよい。

 

国際保健をやる時大事なこと。

英語は必須。一日一回英語に触れる。日常生活のパターンにする。仕事をうまくやっていく人というのは英語ができるだけではなくて、他人の気持ちが分かる人。相手のことが分かる人。自分だけで生きているわけではない。そういう感覚を持っている人。そういうのは、協力に不可欠であるし、本当に尊敬されるためにも必要。

 

WHOのアピールポイントと今の問題点について

結核では毎日1,000人が死んでいる。飛行機の事故で1,000人死んだら大きい記事になるのに、結核では毎日1,000人死んでも当たり前のことと思われている。何が重要なのか、どこが本当に助けを必要としているのか、それを正確に判断することが大切。

 

 

 

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