日本財団 図書館


3月11日(土)

 

○本日のスケジュール・内容

 

○Jose Rodriguez Memorial Hospital訪問

私たちは3月11日(土曜)の午前中にマニラの郊外にあるホセロドリゲス記念病院(Jose Rodriguez Memorial Hospital)を訪問しました。

まず、我々は病院の前にある研修施設で病院の医師から説明を伺いました。

この病院は、1940年ルソン中部のサナトリウム(Sanatorium)として設立されました。現在、この病院は、下の三つの施設として機能しています。

1) ハンセン病(らい)の三次紹介(referral)センター

2) 病弱で行き場のない患者さんの保護施設

3) 病院の周囲50万人を対象とした総合病院(実際、産婦人科や小児科の外来を行っていました)

この病院でのらい(leprosy)の入院患者さんは、85年から98年までの13年間で男約2300人、女約1000人で男女比は、およそ2:1また16歳から60歳までの生殖年齢(子供が作れる年齢)の人が多いそうです。フィリピンでのらいの有病率(prevalence rate)は、86年が人口1万人に対し約7人だったのに対し、98年では1人弱に減少しました。

また、らい患者に関する法律が1940年以前に作られ、らい患者の隔離政策を含んでいるものでしたが、1964年にその法律は廃止されました。日本のように患者が隔離されているために、患者の家族にまで差別されるということはないみたいです。患者への差別は残っているようですが。

フィリピンでは地元の保健婦(health worker)の人たちが、学校に行って子供たちの肌の状態を見て、らい病をスクリーニングします。そして、RHU(Rural Health Unit)で診察を行うのですが、ここで手に負えない患者がこの病院に送られます。ここで治療して回復した患者さんは、また地元のcommunityに帰っていきます。これをReferral Systemと言い、ホセロドリゲス病院のような病院はReferral Centerと呼ばれます。

説明を伺った後で病院内を見学しました。

病院は平屋の建物がほとんどで庭も広く、子供たちも庭で遊んでいて開放感がありました。患者さんの病室は男女別に分かれているのですが、ベッドがぎっしり並べてあって、プライバシーはほとんど守られていないように見えました。患者さんたちは快く私たちを迎えてくれて、一緒に写真を撮ったり、自分が作った手工芸の作品を披露してくれました。患者さんには指の変形や機能障害が見られる人が多く、腕に結節がたくさんできた女性もいました。この病院でもMulti Drug Therapy(MDT)による治療が行われていますが、副作用も黄疸や肝機能障害を起こす若干例をのぞくとほとんどみられないそうです。MDTの薬を見せてもらいましたが、WHOと日本財団の援助によるものだと書かれてありました。

ここでの治療費は無料ですが、生活補償は政府から受けられないため、患者さんやその家族が院内にある作業所に集まって子供用の人形を作っていました。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION