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事例8

出張研修参加後に不適応をきたした事例

 

40歳、男、警察官

 

ここではあえて階級は示しません。中堅として勤務している人です。

これまで、勤務の上でも、私生活でも全く問題のない人でした。

社会的に様々な問題も起こっており、警察としても、今まで以上に対応を考えなければならないという状況の元で、いろいろな新しいやり方を取り上げるために、研修が実施されることとなり、本人が選ばれて、参加するように命じられました。約一ヶ月間の泊り込みの研修でしたが、休日に自宅へ帰れないほどの遠方ではありませんでした。

極めてまじめな性格であった本人にとって、研修参加職員として選ばれたことに、大きな責任を感じていたようでした。

研修の内容は主として、これからの新しい取り組みについてのことで、難しいかどうかというのは、それぞれの感じ方にもよると思いますが、たまたま、この研修に参加している他の職員たちは、本人より何歳か若い人が多いということがありました。周囲となじめないということはなかったのですが、本人がともかく、成果を上げて帰らなければという意識が強く、他の研修生に比べて成績が悪いのではないかという心配もあり、夜も資料を調べたり、休日も自宅に帰らないことが多かったようです。

実際には研修を無事修了し、本人に対する研修実施側の評価も高い方でした。しかし本人としては、成果に必ずしも自信のないまま、職場へ戻り上司に報告しました。上司は、労をねぎらった後、研修で得てきたことを職場に反映させるよう指示しました。

本人は、どのようにして研修で受けてきた内容を職場の人たちに伝えて、役立たせたらよいのか迷いながら、取り組みを始めました。職場の協力がなかったというわけではありませんでしたが、なかなかこのようなことは、目に見えて成果が上がることではなく、本人もそれは分かっていながら、やはりあせりを覚えている毎日でした。

 

 

 

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