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事例6

生徒からの暴力に合い、うつ状態を呈した女性教師の事例

―PTSDの疑い―

 

32歳、女、中学校教師

 

教師歴9年の国語教師で、この学校へ一年前に赴任し、新学期から2年生の学級担任も受け持つことになりました。

生徒数300人位の学校で、上司としての校長や、同僚教師との人間関係などには特に問題のない環境ではありました。ただし以前から、俗にいう荒れた学校ではあったようです。

もちろん、問題のある生徒は一部ですが、いじめや暴力行為、時には教師へ反抗などがあって、校長や教師たちも対応に苦慮していました。生徒の問題行動は、よく世間でいわれるような程度で特別荒れているというほどではありませんでした。

この女性教師が被った災害も、内容的には特殊なものではありません。

たまたま担任をしているクラスの国語の授業時間中に、勝手に教室を抜け出した男子生徒がいました。この生徒は以前から授業をさぼる、女子生徒をいじめるなどの行為が再三あったので、授業が終わったあと、その生徒を呼んで、担任として少し厳しく注意をしました。それに対して、極めて反抗的な態度を示していたこの生徒は、突然この女性教師に殴りかかり、突き飛ばす、足で蹴るなどの暴力行為にはしりました。

騒ぎを聞いて駆けつけた他の教師たちによって、この生徒は取り押さえられ、女性教師は救急車で病院へ運ばれましたが、顔面打撲、肋骨骨折で、一ヶ月のけがと診断され、とりあえず入院ということになりました。

傷害事件として一応警察へも届け、この生徒については、思春期を専門とする精神科医を受診させました。この生徒のその後の治療経過などについては、直接関係ありませんので省略します。ただ、この生徒の両親は普段から放任主義で、この事件に対して表面的には謝罪したものの、学校の教育が悪いからうちの子がこのような事件を起こしたのだと他に言ったりするようなありさまでした。

 

 

 

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