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だれにでもPTSDが起きてもおかしくない異常な体験といっても、同じ体験をした人がすべてPTSDになるわけではありません。ストレスに強いとか弱いとかいう問題は当然ここでも出てきます。

蛇足になるかもしれませんが、だれにでもこのような危機的な体験をしないとは限りません。

普段からストレス耐性を強くするといったような心構えは、すべての人にとって必要だとはいえると思います。

 

エ 人格障害

第2巻の職場不適応、職場の介入などのところで、何度か出てきましたが、人格障害ということに関しては、社会的にももちろん職場においてもいろいろな問題を引き起こすことがよくあります。一つの精神的不健康ではあるとしても、もちろん精神疾患ではありません。

性格が偏っていて、そのために自分自身が悩んだり日常生活に支障をきたしたり、または社会的に何らかの迷惑をかけたり問題を起こしたりする人のことをいいます。

単に、少し変わっているとか、変わり者とかいうだけでは人格障害とはいいません。

それでは人格というものの定義は何かなどといい出すとまた面倒なことになります。単純にその人のもっている性格だとだけいってしまえるわけではなく、物の考え方やその表現の仕方や習慣、態度、あるいは特徴、人生観などといった総体的なもの、その人の心理的、身体的な個性といういい方がされるようです。言い換えれば、もっている性格を中心とした、物の考え方や生活の態度などすべてを含むということになるでしょうか。

そうすると人格障害というのは、以前によく言われた異常性格というのとは少しニュアンスが違うかもしれません。

そこで人格障害の定義をもう一度繰り返しますと、「病気(精神疾患)ではないのに、その人の行動、態度、対人的なかかわり合い、物の考え方などが普通の人と大いに変わっていて、そのために自分が悩んだり、周囲の人を悩ませたりする場合」と記載されています。

 

 

 

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