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故.中川尋史(なかがわひろふみ)

(当時47歳 茨城県取手市)

故.門屋義廣(かどやよしひろ)

(当時48歳 埼玉県所沢市)

 

平成11年11月22日、航空自衛隊ジェット練習機による飛行訓練を終えて埼玉県入間基地に向けて帰投中、機にトラブルが発生し、振動、発煙、急激な高度低下が起こった。両氏は、安全に脱出する機会があったにも拘わらず、機の墜落による民家や公共施設への被害を最小限に食い止めるため、比較的安全と考えられる河川敷上空まで操縦を継続された。この結果、安全に脱出できる高度以下となり、機から脱出されたものの、惜しくも殉職された。

平成11年11月22日午後1時2分入間基地を離陸した航空自衛隊T33A型ジェット練習機は訓練を終えて帰路に就いていたが、同1時38分、管制塔に対し「マイナー(軽い)トラブル」と通報した後、更に、同1時39分、振動、オイル臭等を通報。管制塔からの照会に対し「コックピットスモーク」と応答。続いて、緊急状態を宣言。管制塔からの「緊急状態の理由」の照会に、再度「コックピットスモーク」と応答。その後、周辺の民家等を避けつつ飛行を継続し、管制塔からの着陸許可、脚下げ確認の応答を行ったあと、同1時42分14秒「ベイルアウト(緊急脱出)」と通報、同1時42分27秒「ベイルアウト」と再度の通報を最後に、機が送電線のグラウンドワイヤー(接地線)に接触する直前(後席)・直後(前席)に緊急脱出したが、既に、安全に脱出出来る高度以下となっており、惜しくも殉職された。機は、埼玉県狭山市柏原の入間川河川敷にある狭山リバーサイドゴルフ場コース内に墜落炎上した。

この事故により、送電線を切断し停電等の被害は生じたものの、両氏の適切かつ必死の決断により、民家の火災や人身への被害は無かった。

○両氏とも、飛行時間5千時間を超える大ベテランであった。

○墜落現場の河川敷の北側には、狭山ニユータウンの住宅地が広がっている。

(事務局 推薦)

 

 

 

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