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見える音創り

作曲・演奏 やなせけいこ

 

デフパペットの舞台全編に生の「音」が加わったのは一〇年ほど前の「遠野物語」から。この時演奏した竹マリンバやフライパンの音が印象に残り、(からウロコが何枚もおちた。)それが今の私の音創りの基になっている。民族楽器のおもしろさ、打楽器のすごさ、目にも魅力的な手作りの楽器たちを想い続け今日に至っている。

私がデフパペットの作品の「音」を創らせてもらうのは今回で四回目になる。デフパペットの音を創る中で、音に対する気持ちがずいぶん変わった。耳で聞くだけの音から、目で見る音、身体で感じる音創りへ幅が広がった。そして、私は音を「聞きながら」創っているが、デフパペットの中で音創りを始めてから、「聞こえない」ということより、「聞こえる」「聞く」ということを改めて考えるようになった。聞こえる人が意外に音を聞いていないことがある…ような気がするのは気のせい?

手作りの楽器はとてもあたたかく身近な感じがして好きだ。民族楽器もまたそれぞれの国の生活の中から生まれてきた手作りの楽器である。遠くの人との交信に使ったり、特別なお祭りなどに使われる。特に私にとって打楽器は、気持ちをストレートに伝えることができるもの、たたけば音がだせるので親しみやすく大好きな楽器だ。デフパペットの音創りには打楽器が欠かせない。振動が実際に伝わりやすいことと、演奏している姿、表情がはっきりしていてわかりやすいから。

毎回新しい作品を創る時には「今回はどんな音にしようがな」と同時に「今回はどんな楽器を作ろうかな」と考え始める。…が不器用な私は自分では作れず、有能?な楽器職人?に頼むことにしている。どんな形にしたら見た目に楽しくておもしろいか、ここから音が出ていることが伝わるには?いろいろ工夫をしてみる。

「音」が人形たちの動きにべったりと付くことがなく、個別にひとつの世界を創ることを心掛けている。動きの世界と一緒になって、さらに面白い世界(舞台)を創りだせるように。

ある終演後、かたずけをしている時に、聞こえない方がわざわざ舞台前まで来て「楽しかった。音が見えました。」と言ってくださった。この言葉が私の音創りパワーの源である。

 

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プロフィール

一九八〇年 名古屋芸術大学音楽学部卒業

愛知県立岡崎ろう学校の音楽講師を経験後デフ・パペットシアター・ひとみの創立に参加。「オルフェ」「赤い椿の物語」(一九八一年)、「京太郎の唄」(一九八四年)、「曽根崎心中」(一九八七年)、などの作品では人形劇役者として、その後「遠野物語」(一九八五年)、「わんぱくスサノオの大蛇退治」(一九八七年)、「さくらものがたり」(一九九一年)、「猿の王」(一九九四年)、「ドッテテドッテテドッテテド」(一九九六年)「カガミマル」(一九九八年)、などでは陶磁器、竹、アジア・アフリカなどの民族楽器を使っての演奏、作曲で参加。

最近は手作りの楽器を使ったワークショップも行っている。

 

 

 

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