日本太鼓と学校教育−3]
太鼓指導者の育成を早急に 蘭導代表 鈴木孝喜
昭和60年のことである。ある小学校より、手をやいている児童のことで相談があった。話を聞いてみると、この小学校は1200人を超すマンモス校で、色々な部活動があるが、入部するにはそれぞれの適性試験に合格しなければならないとのこと。つまり、手をやいている児童とは、この試験に落ちた10数人の児童たちのことであった。
この児童たちは放課後、他の部活動を横目に見ながら、落書きやガラスを割るなど施設を荒らす問題児とされていた。学校にとってこれは、これまでの指導経験の中では特別のものだった。太鼓指導をはじめると常に落ち着きのない児童もおれば、1分と話を聞けなかったり、学校で手をやいていることを実感した。しかし、児童たちの興味をひくよう模範演奏をやってみせたり、指導時間を拘束したりせず、短い時間から少しづつ練習時間をのばし、一人一人が持っている個性を太鼓に向けさせながら3ヵ月後ようやく学校祭の発表にたどりついた。私は、他のイベントのため、当日の舞台を見ることができなかったが、翌日学校から連絡があり、何と、あの児童たちが一躍大スターになってしまい、大人気とのこと。心のやり場のない児童たちが太鼓を通して自分の存在を伝えていたのだ。
今、あらゆるものが豊富な時代とは反対に、自分を表現できない少年たちが増えているのは事実のようだ。2002年からは義務教育へ和楽器が取り入れられ、太鼓も使われるようになると思うが、全国的に指導者が少ないのが現状である。技術も指導力も優れた公認指導員をはやく育成しなければならないと思っており、また、技術委員会の委員として大きな役目と感じている。
(財)日本太鼓連盟より1級公認指導員に合格したとの通知が届く。喜ぶ間もなく「抱負を書け」とのTEL。一番苦手…。
補助講師として、京都・群馬・大分・静岡・熊本・長野で開催された日本太鼓全国講習会及び支部講習会に参加させていただき、自分自身大変勉強になり諸先生方との出逢いは印象深いものでありました。
基本講座を受け持たせていただき、生徒たちの真剣な眼差し、一生懸命な姿に感動を覚え、いかに分りやすく、楽しい講座にしてゆけるかが当面の課題であります。生徒たちに感動とやる気をあたえ、また、何でも気軽に相談に来てもらえるような、親しみやすい講師になりたいと思っております。そして、講座も信頼して聞いてもらえるよう、まず自分自身が基礎知識をしっかり身につけ、努力を惜しまずがんばっていこうと考えております。
追伸:日本中に私を迎え入れてくれる友達がいる。
考えただけで胸がワクワクする。
世界中ならもっと嬉しい
池田庄作副会長、文部大臣から表彰
このたび、文化財保護法50周年記念式典が行われるにあたり、当財団の池田副会長が長年にわたり御陣乗太鼓の伝承・保存のため尽くされた功績に対し、文化財保護功労者として文部大臣から10月30日に表彰されることになりました。この受賞は太鼓界に大きな夢と希望をもたらしたことになります。本当におめでとうございます。