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日本太鼓と学校教育−2]

 

今回は、岐阜県の「羽流太鼓」の代表である羽土聡氏から2002年の学習指導要領改正について、また、長崎県の知的障害児施設「長崎県立光が丘学園」の保育士・山道邦代さんから障害児と日本太鼓について、それぞれ寄稿がありましたので、ご紹介いたします。

 

日本中の音楽室に日本太鼓が… 羽流太鼓代表 羽士聡

私は、ご府県教育委員会の音楽担当指導主事として、小中学校や各都市の音楽科教員研修会などを訪問し、授業を参観したり、助言したりしています。会報10号の「日本太鼓と学校教育」を拝見し、財団の一員として、また、学校教育に携わっている者として大変嬉しく思いました。

2002年からの新学習指導要領の中に、「豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること」という項目があります。今まで欧米諸国に追いつけ、追い越せという傾向にあった日本人に、音楽科では自国の伝統音楽文化の良さに気づき、尊重しようとする態度を育成する事で、新たなる自覚を高めることを目的としています。

その一つに、「中学校における和楽器の学習」があるのです。そうして、小学校でも次の対照表のように和楽器の指導が重視されています。

 

近頃では、音楽科教員の日本太鼓に対する関心が非常に高く、研修意欲の高さを感じます。会員の皆様も、教師の研修会や地域の学校へ太鼓を教えに行かれる機会が増えてくると思います。その日のためにも、全国講習会などに参加し、基本から学び直すことも大切ではないでしょうか。私も財団化される前から含めると十数回参加しました。一流講師、全国の太鼓を愛する皆さんとの出会いは、人生の貴重な宝物です。

学習要領改正を日本太鼓のさらなる普及のチャンスととらえ、みんなで手を取り合い、学びあったり演奏しあったりしていけたら素晴らしいと思っています。

日本中の音楽室から日本太鼓が響く日も遠くありません。

 

楽器(打楽器)に関する内容の新旧対照表

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障害児と日本太鼓 長野県立光が丘学園 保育士 山道邦代

知的障害児施設「長崎県立光が丘学園」で、和太鼓を取り入れて10年が過ぎました。学園祭で、竹や酒樽などを使って、和太鼓の模擬演奏をしたのが始まりですが、子供達は予想以上に興味を示し、とても楽しく取り組みました。「もしかしたら、和太鼓はこの子供達に合うのではないか。このまま出し物として終わるのではなく、子供達の療育の中に取り入れてみてはどうだろうか。」と考え出した矢先、新聞で大村太鼓連の田中俊己先生を知り、早速、会いに行きました。

まず、職員が3ヶ月間、田中先生から基礎打ちを指導して頂き、それを職員が子供達に教えるという形で練習を始めました。学園に本物の和太鼓はありませんでしたから、竹やタイヤを太鼓代わりにし、新聞紙を丸めてガムテープでぐるぐる巻きにしたバチで打たせました。力の加減をしない子供達のバチはすぐボロボロになりましたが、その力強さは嬉しい限りでした。

(田中先生にはそれ以来、技術の指導だけではなく、色々な面でご支援頂き感謝しております。)

 

 

 

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