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3 このような状況のもとでは、わが国としても、比較的最近に諸国が関係した類似の紛争事例について、海洋法条約と国内法令の解釈・適用ぶりを比較検討することが必要となります。そのさい、最近の海洋紛争は、同条約の文言上から直ちに結論が出せるものは少なく、むしろ各条文の隙問をぬって展開される主張が目立つことに、注意する必要があります。こうした問題に対処するには、個別分野では補完のための実施協定が作成されたとはいえ、海洋法条約そのものの改正を口にするのは早計であり、むしろその目的・趣旨を効果的に実現するための柔軟な解釈方法を用いて、条約規定の内容を具体化し豊かなものにする、といった工夫も必要になります。

 

4 当委員会は、このような観点から、国際法、刑事法、行政法、海上警察法を専門とする学者側委員と海上保安庁の専門部局側委員をもって構成され、年間8回にわたる研究会を開催いたしました。毎回、学者側委員が1名ずつ担当する基本項目について報告と問題提起を行い、全委員で理論上、実務上の論点を討議しました。このような検討を経たのちに各学者側委員が分担項目についてその成果をまとめたものが、この報告書に掲載する下記の諸論稿であります。

 

5 当研究会が、第二年度でこのように当初の調査研究計画を充実させ促進することができたのは、海上保安庁の各関係部局をはじめ、財団法人海上保安協会の皆さんから多大のご支援とご協力を得た結果であります。ここに委員一同に代わり、改めて厚く御礼申し上げます。

 

平成13年3月

 

海洋法調査研究委員会

委員長 山本草二

 

 

 

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