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IX. こどもL.E.C.センターの行事について

 

こどもL.E.C.センターでは施設生活全体が治療的、成長促進的な環境となることを考え、日々の生活や治療のみでなく施設行事を設けています。この施設行事は春の遠足、夏のキャンプや運動会、クリスマス会などであり、大きく分けて3つの視点から行事の企画を行っています。1]子どもたちの相互作用を促す、2]個人の成長を促す、3]社会の動きを感じる、です。

一言に情緒障害児短期治療施設といっても不登校の児童や被虐待の児童を始め、抱えている問題は様々です。そのため、こどもL.E.C.センターでは行事そのものが、子どもたちにとってプラスになることを念頭において、プログラムをたてるようにしています。枠組みの設定は職員が行い、その内容を子どもたちと一緒に考えていきます。職員の意向だけを子どもたちに押し付けるのではなく、子どもの主体性、自主性を重んじて行事を進めていくように心掛けています。

施設というものはどうしても閉鎖的になりがちで、外の社会と離別しやすい傾向にあります。日常生活において、外に出て活動することをあまり好まない子どもが多いため、行事を通して、毎日の単調な生活のペースから抜け出し、場所を変え、外の空気を取り入れ、時には季節を感じさせることを目的としています。

春の遠足では新しい学年を迎え、新しい子どもたちの利用が増える時期です。この時期には子どもたちは新しい環境への不安や期待を感じており、遠足のような行事を通じて、子どもたちがお互いに知り合う機会を提供する場となっています。

また、夏のキャンプとクリスマス会では社会の動きを感じるために行うものです。夏のキャンプでは施設を離れ、日常生活に対し、間を置いて振り返ることが出来ます。また、環境を変えることでリフレッシュし、普段の生活では感じることの出来ない自然を体験します。クリスマス会では季節感を感じ取り、職員及び子どもたちが一緒になって楽しみを分かち合います。

さらに、家庭の事情で帰省できない児童は家族との関係が希薄であったり過干渉であったりしていたと思われ、安定した状態で家族旅行をしたり家族と触れ合ったりという機会が少なかったと思われます。そのため、そのような児童に対しては、毎週末、特別なプログラムを提供しており、買物や映画鑑賞などへ職員と共に出かけています。また、夏季及び冬季の長期休暇中も同様に家庭の事情で帰省できない児童に対して職員と共に皆で旅行をするというプログラムを設けています。

今後の課題としては、それぞれ治療目的の違う多種多様な児童を同じ内容のプログラムで、どのように治療的な効果を見出し、取りまとめていくかという点です。様々な所から情報を収集し、試行錯誤しながら、こどもL.E.C.センターらしさを持つ行事を作り上げていきたいと思っています。

 

 

 

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