II. こどもL.E.C.センター設立までの経緯
1. 経緯
森の都、熊本市の東部に益城台地がある。当園は、その頂きにあり、熊本城天守閣の高さとほぼ同じだと言われている。
60,000m2(18,000坪)の敷地に広がる緑の芝生や、樹齢を重ねた大樹、緑と風と陽光に囲まれた赤い屋根の家は、北欧の村落を思い起こさせる。
昭和22年6月、アメリカルーテル教会宣教師で慈愛園園長であったモード・パウラス先生は、戦後の浮浪する子ども達を救済するために第2の慈愛園建設を意図して、当地、旧陸軍演習場用地26,000坪の払い下げを受ける。
アメリカリッチモンド市に本部をおくChristian Children's Fund Inc.(C.C.F)より資金の援助をうけ、開墾と子どもの家建築に着手した。
昭和23年4月 子どものホーム第1棟を竣工。開園式を行う。
24年8月 養護施設「慈愛村」認可(熊本県知事)
28年12月 「社会福祉法人基督教児童福祉会広安愛児園」認可(厚生大臣)
47年11月 創立25周年記念式典を行い記念誌「かんのじ山」「児童処遇の手引き」を刊行する。
平成3年11月 創立45周年記念事業として、老朽整備事業、子どもの家全面建て替え、記念誌「神の家族」を刊行(東京中央図書館蔵書)し、落成記念式典を行う。
5年3月 自立援助ホーム建築
5年4月 分園型自活訓練事業開始(榎ホーム)熊本市榎町に土地、建物購入
この間、肉親や家族に恵まれない児童に対する自立成長のための援助をするとともに、社会的に急増している虐待や不登校に対する心理的援助を要する児童の支援にも力を注いできたが、特に近年、児童を取り巻く様々な家庭的・社会的要因から虐待、不登校及び性格、行動などの情緒面の発達に問題を持つ児童が急速に増加し、児童養護施設の機能のみでは専門性及びマンパワーが不足しており、対応しきれていない現状を憂慮し、時代のニーズに応えるため情緒障害児短期治療施設建設の検討を行う。
平成7年3月 理事会で創立50周年記念事業として、情緒障害児短期治療施設新設の案がでる。
鳥取子ども学園『希望館』見学研修
8年5月 理事会で5回継続審議し、情短施設新設を決定
6月 熊本県に情短施設整備(長期整備計画)協議書を提出
12月 情短施設設立委員会を発足
9年8月 高槻市の情短施設『希望の杜』見学研修
10年11月 理事会で心理療法士道平進氏を設立準備室長に決定。熊本県児童相談所と情短施設新設について協議を重ねる。