(1) 報告書の構成、目次案を決定し、担当者を決めた。
(2) 第1章の深海係留石油生産システムの原案を承認した。原案は次のとおりである。
1. 深海係留石油生産システム
1.1 マーケットトレンド
1.2 新しいシステムコンセプト
1.3 設置施工法
1.4 ハイブリッド模型試験法
1.5 数値モデリング
(3) 第1章の深海係留システムに深海の潮流分布の例を追加することを決めた。
(4) 第2章のダイナミックポジショニングの原案提出を担当委員に催促することとした。
(3) 第3章の超大型浮体構造物の原案を承認した。原案は次のとおりである。
3. 超大型浮体構造物
3.1 弾性応答軽減のための新コンセプト
3.2 位置保持装置の総合信頼性評価法
(4) 深海係留システムのハイブリッド水槽実験法の推奨手順について、委員より提出のあった原案を審議した。原案は次のとおりである。
1) 推奨手順の目的
2) 推奨手順(数値モデリングの適用、数値モデリングの検証、数値モデリングとアクチュエータの結合、係留索アクチュエータ、アクチュエータの変位、力と変位のフィードバック、アクチュエータの較正、環境外力の較正、データ収録、システム全体の検証、模型試験プログラム、データ解析、結果表示法、事後検証)
3) パラメータ
4) バリデーション(不確かさ解析、数値モデルバリデーション、係留バリデーション、データソース、ベンチマークテスト)
推奨手順を決めることの適否を含めて、内容を今後検討し、次回の委員会で決定することとした。
3 係留浮体システム専門委員会の意義
係留浮体システム専門委員会は、先にも述べた通り、今後5年で急速に市場が拡大すると見られる海底石油・ガスの深海(1,000m以上)からの掘削・生産システムを念頭にハイブリッド水槽実験法の現状調査と、実験法の推奨手順の取り纏めを求められている。筆者は重要な係留浮体システムの一例として、我国が世界に先駆けて海洋空間の有効利用と海洋環境保全の中心技術として開発しているメガフロートもこの委員会で取上げ、技術開発の世界標準、推奨安全設計手順等を報告書に取り入れて、船舶海洋工学の最も由緒と権威のある国際試験水槽会議総会に提案する予定である。ここで決定された標準・手順は実質上すべての船舶・海洋構造物の設計・開発を拘束する。この重要な標準・手順の原案作成と決定に参加することは、今後の上記先進的開発課題の研究開発遂行上極めて有効で、我国の船舶海洋分野の産業技術戦略上欠かせないと考えられる。
4 おわりに
専門委員会が無事終了し、橘教授主催のディナーに招かれた。料理はブラジル名物のシュラスコというバーベキューで牛、豚、羊の各部位18種類の肉を、ブラジルのカルテル、カイピリーヤとともに頂いた。サンパウロで一番のお店ということで素晴らしく美味しかった。夜には西本教授にも会えて、有意義なサンパウロ出張を無事に終えることができ、翌朝リオ・デ・ジャネーロに発った。リオ・デ・ジャネーロではOMAE(海洋と極地工学に関する国祭シンポジューム)に出席し、数多くの深海係留石油生産システムや超大型浮体構造物の研究発表を聞くことができた。