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また、パーオキシダーゼは、フェノールと4-アミノアンチピリン(4-AAP)存在下では、過酸化水素の量に比例した赤色キノン色素を生成する。この色素量は500nmで比色定量することができる。

1) HxR+Hx量の測定:ヌクレオシドホスホリラーゼとキサンチンオキシダーゼを作用させて生成する過酸化水素を赤色キノン色素として測定する(A)。

2) ATP関連化合物全量の測定:アルカリ性ホスファターゼとアデノシンデアミナーゼを作用させた後のHxR+Hx量として測定する(B)。

3) K値の計算:K値(%)-A/B×100によって算出する。

 

3. 鮮度試験紙法-III法を利用したK値測定

今回K値の測定に用いた鮮度測定は鮮度試験紙法である。

図2-65は、魚筋肉のATP分解過程を示したものである。試験紙にヌクレオシドホスホリラーゼとキサンチンオキシダーゼの酵素と酸化還元色素を吸着、固定させてある。ヌクレオシドホスホリラーゼはHxRをHxに分解し、キサンチンオキシダーゼはHxをキサンチンから尿酸へ分解する。酸化還元色素はHxが尿素に分解されるときに還元され発色する。

一方、K値の分母側の成分であるAMPとIMPを測定する試験紙は、AMPデアミナーゼ、IMP脱水素酵素、補酵素酸化還元色素と色素の還元を触媒する酵素(ジアフォラーゼ)を濾紙に吸着させている。

AMPデアミナーゼはAMPをIMPにし、IMP脱水素酵素は補酵素(NAD)存在下でIMPをキサンチン酸に分解し、同時に補酵素を還元しNADHを生成させる。この生成NADHはジアフォラーゼの作用で発色する。この発色の濃淡でAMPとIMPを定量する。発色した色素の濃淡は、試料魚のAMPとIMP濃度が高ければ色は濃く、低ければ淡くなって表れるので、試験紙の色をK値換算色標と目視比較をしてK値を決定する。

試料魚の頭部、同部、尾部の3部位の筋肉を採取して魚体の鮮度判定の科学的指標「K値」を測定し、感覚的鮮度を5段階に分けて評価を行う(表2-43参照)。

 

 

 

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