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4. 測定結果

深度1400mの深層水と表層水のNMRの測定結果は下記のようであった。

 

表2-40 各試料のpH及びピーク半値幅

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表層水では17OによるNMRの測定結果は58Hzであったが、深層水では78Hzとなり20Hzの大きな差異が測定された。一般に、3Hzですでに有意義な差異と見られることから、深層水の水分子クラスターは表層水のクラスターに比べて極めて大きく、安定しており水分子の集合としては固定的であり、分子自体のエネルギーは消失しやすい状態にあると言える。深層水は表層水に比べてエネルギーが高く、いわゆる機能性水としての特徴を持っている可能性がある。

深海における水分子のクラスターの示す大きなNMRスペクトル値は、pHの高い状態や温度の低い状態、大きい圧力下での傾向が知られており、この観点からの検討と深層水中に混在する水溶性重金属イオンと水分子との鎖塩状態による相互関連も今後検討する必要がある。

次頁に表層水の17O-NMRスペクトル、深層水(-1400m)の17O-NMRスペクトル、表層水と深層水の水分子クラスターモデルを示す。

 

5. まとめ

深層水の水分子クラスターは表層水に比べて大きく安定しており、極めて興味深い結果が得られた。深層水は表層水に比ベエネルギーレベルが高く、こうした水は機能性を持つものと思われる。今後は、深層水中の電磁気性状やその水分子の熱力学的性状の解析が待たれる。また、MRA(磁気共鳴分析)による水の結晶構造解析、NMRによる運動エネルギーのH2による数値化から深層水の水分子の運動エネルギーの測定、電気伝導度及び酸化還元電位の測定、更に溶存酸素量、比重変化、表面張力変化などの測定も必要となると思われる。

 

 

 

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