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岩石や堆積物と海水が相互作用をし、さらに大気と太陽の作用を受けているのが沿岸域という大陸棚であればこそ、一切の栄養塩が無くとも植物プランクトンという生命体が発生する。こうしてミネラルと他との相互作用が植物プランクトン発生とその後の食物連鎖に重要な働きをしているという認識に到達する。

 

4. 植物プランクトン発生の予備的実験

自然湧昇域や大陸棚海域での植物プランクトン発生機構の本質を解明するために、以下のような予備的な実験を行った。

海ヤカラ1号から表層水、中層水、深層水を採水し、その海水の種々の組み合わせを行ってシャーレに入れ、太陽光の下で光化学反応によってどのような植物プランクトンが発生するかを観察した。

実験に先立ち、各海水は1リットル容器に入れて冷蔵庫で保管した。容器やシャーレ等は当然殺菌処理をしてある。

6穴プレート状シャーレに下記条件の海水を10mlずつ入れて、ただちに生物顕微鏡下で観察したが植物プランクトンらしき物は一切見出すことはできなかった。

海ヤカラ1号設置直後の海水であったためにプランクトンはまだ発生していなかったものと解釈できる。この実験では時間とともにどのようなプランクトンが発生してくるかに注目して観察した。

なお各海水を表層水(A)、中層水(B)、深層水(C)とし、添加順序については以下の様に記号化して備考欄に示した。

例 :表層水(A)に中層水(B)と深層水(C)を添加する

記号化:A and B, C

 

 

 

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