日本財団 図書館


今後の研究では、生物生産力の向上を定量的に捉える必要がある。クロロフィルa濃度は海洋基礎生産の重要な指標であるが、衛星による海色観測データの解析によりその空間(水平)分布が得られる。これは船舶観測では得られない特徴であるが、船舶観測により現場海域のクロロフィルa濃度鉛直分布観測を行い、衛星観測データと付き合わせることによりクロロフィルa濃度分布を3次元で捉えることができる。これは、将来の「実験海域における基礎生産向上の定量的評価」につながる。また、船舶観測を衛星観測と同時もしくは近い同時期に行えば、衛星データからのクロロフィルa濃度推定の高精度化に役立つ。

今後必要とする研究項目は以下の通りである。

1) 海色観測衛星データの解析

海色観測衛星データを検索し、適切なデータを解析して現場海域のクロロフィルa濃度の空間分布並びに可能で有れば、その時期による変化を把握する。衛星データとしてOCTS、SeaWiFS及びMODISデータを用いる。なお、MODISデータの処理・解析にっいては、データ量が大容量なのでソフトウェアの整備と補助記憶装置を若干追加するなどの強化が必要である。

2) 海上における観測及びサンプルの分析

適切な時期に海ヤカラ1号設置海域での観測を行い、表層水(深度200m以浅)の採水、並びにクロロフィルa蛍光の水平・鉛直分布観測を行う。

3) 海ヤカラ1号設置海域の基礎生産の評価

衛星データ及び船舶観測データの解析結果を基に、海ヤカラ1号設置海域の基礎生産向上の評価を行う。

 

6. 海ヤカラ1号設置海域でのクロロフィルaの観測

前項までは、表2-30に示した様に過去第3回までの海ヤカラ1号の設置海域を衛星データによる解析についてまとめたものである。本項は、平成12年9月4日に設置された海ヤカラ1号周辺海域のクロロフイルa増殖について予備的ではあるが電子センサと採水による観測を行った。

6.1 電子式クロロフィルセンサによるクロロフィルaの観測

1) 観測日時 平成12年11月16日(木)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION