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ケアの質

 

ピースハウスの1999年度入院統計を見ますと、患者さんの住所は8割近くが神奈川県で、しかも県西部、湘南地域の割合が高くなっています。南足柄市・足柄上郡の患者さんが増えていますから、地域への浸透も徐々に進んでいると考えられます。これは、ピースハウスの理念に基づくスタッフ・ボランティアの日頃の堅実な働きによるところが大きく、また、訪問看護ステーション中井や地域の他の訪問看護ステーションとの連携が良く行われたことにもよります。

1999年1月1日から4月30日までに全国の緩和ケア病棟承認・届け出受理施設で亡くなられた患者さんのご遺族に対して、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会が利用満足度を知るためのアンケート調査を8月に実施しました。全国の集計では、総合評価で、「とても満足」と「満足」という回答が合せて89.6%にのぼり、「やや不満足」、「不満足」、「とても不満足」は合せても3.4%にとどまりました。全国的にホスピス・緩和ケアが一定の評価を受けていると考えてよいでしょう。

ピースハウスでは、該当45家族のうち、連絡を希望しない1家族を除く44家族にアンケート用紙を発送しましたが、37家族(73%)から回答がありました(全国平均63%)。「全体の満足度」は5段階評価で平均4.5と高い評価をいただき、不満足の回答はありませんでした。ほとんどの項目についても満足度は高く、不満足の割合は低いものでした。しかし、平均の満足度こそ低くはないものの、不満足の割合が高い項目(入院待ち、家族用キッチンの使い勝手(広さも含む)、痛みの緩和)や、満足度も低く、不満足の割合も高い項目(他科紹介)もありました。

ケアのための環境を改善し、良い状態に維持し、バランスのとれた質の高いケアを継続的に提供することに努めたいものです。デイケアを含めて、在宅ホスピスケアもさらに発展させていきたいと願っています。

 

ピースハウスの基本理念

 

ピースハウスはやすらぎの家である。ここで時を共にする人は皆それぞれの生き方を尊重する。

1. 痛みなどの心身を悩ます不快な症状が緩和され、患者と家族がその人らしく時を過ごすことができるように、患者と家族の希望する場において、全人的ホスピスケアを提供する。

2. 愛する人を失う悲しみや、その他の心身の反応は自然なことと考え、ケアを始めたときから死別後まで、患者の家族への支援を行う。

3. 患者と家族のニードに応えるために、多職種の職員とボランティアでチームを構成し、互いに協力してケアを提供する。

4. 日本の実状に即したホスピスのモデルとなるように、より良いケアの実践、研究、教育を進める。

(1998年10月改定)

 

院長 西立野研二

 

 

 

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