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・9時-11時:Crifford博士(R.N.)と会見。彼女は元ベス・イスラエル病院の看護部長兼副院長で、プライマリケア・ナーシングをアメリカでいち早く唱え、日本にも3回来たことがあり、ライフ・プランニング・センターの活動もよくご存知である。

彼女は、現在ベスイスラエル・ディーコネス・メディカルセンターの看護教育の責任者であり、Institute of Nursing Health Care Leadershipのプログラムを主宰している。

彼女を助けて、リハビリテーション看護の専門化であるM. Phippes女史と、患者学習センターのマネジャーのP. Folcarelli女史の2人の教育専門ナースが、それぞれ分担してセンター内の新採用ナースの教育プログラムについての説明をしてもらった。それによると、2ヵ月間は独立して患者を担当せず、そのあとは教育能力のあるシニアのナース1人が、1人の新採用ナースに1カ年つき、直接指導をつづけるとのことであった。

なお、このセンターにはThe Institute for Nursing Health Care Leadershipという機構があり、以下の活動がされている。

1) リーダーシップ

2) 看護研究と看護管理

3) 国際看護(外国から採用ナースの教育と看護専門職何名かがチームをつくって外国で教育活動を行うコース)

以上のうち3)は、外国の医師に対する(Practi-Med)のプロジェクトに準じるものといえよう。

以上、非常にタイトな日程でアメリカ医学や看護学の第一線の様子を見ることができた。それは25年前、ライフ・プランニング・センターの教育セミナーに講師として招いて以来、常にライフ・プランニング・センターの活動につき援助していただいたDr. Rabkinの配慮あるスケジュールづくりによるものと感謝している。

私は13時30分のコンチネンタルエアラインで、テキサスのヒューストンに向かった。

 

ヒューストン

17時定刻に到着。友人に迎えられてテキサス大学メディカルセンターにあるがん専門病院のM. D. Andersonがんセンターを訪れた。J. Mendelsohn院長もとで血液と骨移植部で研究している上野直人助教授の出迎えを受け、北米の最高の2つの有名ながんセンターの1つであるこの病院を詳しく案内された。

私はこの病院を3年ぶりに訪れたが、今まで1,000床あった病院がまったく新たにつくられ、いまは500床であり、側にある簡易ホテルを患者は利用して、通院でがんの化学療法がなされ、そのために病床が半減したことがよくわかった。

この病院は、2000年のUS News社の調査では全米の癌施設中最高の評価を得ている。世界各地から患者が集まってくるが、非常にヒューマンな態度で患者の診断治療と、徹底した配慮をもってのインフォームド・コンセントにより抗癌剤の薬物の治験がなされている状況を知ることができた。

外来診療の入口から入ると、中はたいへん豪華で、病院らしくない。ロビーは広くゆったりとした家具を備え、素晴らしいホテルといった雰囲気である。たくさんの植物や花が飾られている。夕刻の訪問であったので外来患者は少なかったが、この豪華さはどうしてかと聞いたところ、テキサス大学キャンバスのどこかに石油が出る油田が採掘されたので、それからの収入は建物の改築や研究所の整備に使われるが、人件費には使わないというルールあるとのことであった。ここには豪華な特別室もあり、大家族が患者とともに来ても、病室に接する広いロビーのような部屋で、家族も食事ができ、パーティーまでできるという。日本では考えられない施設とサービスである。患者の食事もホテルのルームサービスと同じようになされ、患者の好みでメニューが用意される。

 

 

 

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