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LPクリニクだより

生活習慣改善奮闘記

 

その5

「惨め」からの脱出

山田道夫(58歳)

電車が駅に着くや否やホームの喫煙所にまっしぐら。アメリカの空港ではわずかな乗り換え時間の間に15分もかけてターミナルの外に行き、1本、2本、そしてしばらく吸えなくなるからと立て続けにまた1本。何とも惨めな姿です。どこに行っても無意識のうちに吸い場所を求めている自分が惨めでした。だから、禁煙しました。何度もやめました。そして1週間を待たずして同じ数だけ復活しました。その度に禁煙願望が高まり、同時に自信喪失と罪悪感も増していきます。

4年ほど前のとある日、LPCで禁煙指導の張り紙を見ました。神の啓示に見えました。自分の力で駄目なら神の力を信じようと、藁をもつかむ気持ちで岡崎禁煙学校の門を叩きました(神様にしたり、藁にしたり…岡崎先生ごめんなさい)。呼気内一酸化炭素の実測から始まり、実例や統計資料を通して喫煙の恐ろしさを徹底的にインプットされました。ナースの東條さんからは励ましのお電話を何度も頂きました。…が、結局無駄に終わったのでした。いつも通りの復活となったのでした。

しかし、諦めたわけではありません。こんなことの繰り返しで一生を送るのも癪だとばかり、次なるチャンスを狙ってエネルギーを蓄えました。恐ろしい一酸化炭素の話、恐ろしい?東條さんの笑顔を思い浮かべ、シガレットという名の白い小悪魔に占領された体で撃退の怨念を蓄え、チャンスを待ちました。

さて、一昨年の夏頃、たばこ1本あたり2円増税するとの報道がありました。これも動機のひとつにはなりました。その年の10月、一日ドックの日です。予診表には家族への発覚を恐れ、実際には3箱のところを40本と書きました。問診で相談しました。「もう一度、たばこをやめよう会に参加したいのですが…」、「今やってないんです…でも、禁煙パッチが解禁されましたヨ」。チャンス到来です!直ちに処方を頂き薬屋へいきました。それでもすぐにはやめられません。正月休みに落ち着いて取りかかろうと自分に言い訳をしながら吸い続けました。

そして、休みの初日、いざスタートです。パッチを貼っている間は吸ってはいけないと書いてあります。無視して5本も吸ってしまいました。6週間かけてじっくりやめましょうとも書いてあります。というよりは、2週間分で8,000円、6週間で2万5,000円、こりゃ大変だ。ヨシ、2週間分で終わりにしよう!。1日750円(3箱)の出費は惜しくもないくせに勝手なものです。ただ堪え忍ぶ10日間。そして1月6日には完全にオサラバすることができました。快哉!。

実は、25年前、3年間禁煙していました。ホントです。この時の成功の秘密は『5日で煙草がやめられる』という本でした。肉体的にも精神的にも安定している正月休みを選び、指示通り進めていきます。1日目を読むと、その先は翌日まで読んではいけません。基本的には水と果物をバンバン摂取する作戦です。成功!そして3年…会社の先輩が「試してみろ」とからかいます。ナンと、5分後にはたばこ屋に走っていたのです。築き上げることは大変だが壊すのは簡単だという実体験です。

禁煙の主役は自分自身です。しかし、効果的な動機と適切な援助が必要です。私の場合、動機のキーワードは「惨め」、効果的な助けは「岡崎学校と禁煙パッチ」でした。皆さんも、動機を工夫し、頼れる助っ人を探してください。七転八起で頑張ってください。…と生意気な口を叩いていますが、本音を白状します。スナワチ、「…遂に書いてしまった!これを投稿したら二度と吸えなくなるなア」…耳元で白い小悪魔が囁いています。「今なら間に合う。投函するな!」と…。

 

クリニクの活動に賛同しご寄付いただきました

(有)パブロ、(有)ティーオフ

西田邦弘(敬称略)

 

 

 

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