日本財団 図書館


訪問看護ステーション千代田から27]

 

『ステーション千代田3周年を顧みて』

訪問看護婦 池田洋子

訪問看護ステーション千代田も11月13日で3周年を迎えます。今まで、ステーション千代田に登録された方は189名、今現在のご利用者実数は90名になります。その9割が千代田区在住の方々です。私は平成10年4月から勤務しておりますが、本当に多くの方に訪問看護をご利用いただくようになり、また地域に根ざしてきたことを実感しています。

当初はステーションご利用者も少なく、1日の訪問件数も2件、多くて3件ほどで、しかも千代田区外の訪問も多かったので、「千代田区には訪問看護を必要とされる方は少ないのかな」と思っていました。また私自身も臨床看護婦から訪問看護婦になったばかりで、無我夢中で訪問していました。ステーションが開所されたばかりの頃は、ステーションを知っていただくために地域の先生方のところへご挨拶に出かけたことも、今では懐かしく思います。

訪問看護の依頼も直接ご家族からいただいたものは少なく、保健所の在宅介護課や在宅介護支援センター、病院のソーシャルワーカーからの紹介が多くを占めていました。中には「病院から急に退院することになったが、寝たきりでどうしてよいのかわからない、体には管が入っている。」「どうやってオフロや食事の世話をすればよいのだろうか。」というせっぱ詰まった状態での依頼も少なくありませんでした。このようなケースに主治医がいない場合には、担当してくださる医師を紹介し、訪問看護指示書を頂き、訪問に行っていました。「今日退院してきた。明日から、もうどうしていいのか。」という方には主治医と連絡をとり、その翌日に訪問したこともありました。こうして1年、2年過ぎるうちに、少しずつ千代田区のご利用者も増えてきました。

 

患者さんのニーズに応えて

この3年間の大きな出来事といえば、やはり介護保険がはじまったことがあげられると思います。介護保険開始にあたり、ステーション千代田にも3人のケアマネージャーが誕生し、と同時に訪問看護を提供するサービス支援事業者の役割だけでなく、ケアプランを作成する居宅介護支援事業者としての役割も担うことになりました。すでにステーション千代田をご利用になっていた40名の方のケアプランも担当しています。ケアマネージャーの3名は看護婦も兼務していますので、看護婦として訪問したり、ケアプランのためにケアマネージャーとして訪問したりとご利用者のために奮闘しています。

また訪問看護の依頼も急に増えました。ケアプランを考える中で、ケアマネージャーから訪問看護を勧められた方が多く、今まで看護婦さんが来てくれるなんて知らなかったという方もいます。このように訪問看護を依頼くださる方も、ご利用者本人からケアマネージャーへと変わりました。他事業所のケアマネージャーで、千代田に訪問看護の依頼をくださった方は25名になり、ケアマネージャーと連絡をとらない日はありません。ケアマネージャー以外のいろいろな職種とも今まで以上に連携をとるようになりました。医師はもちろんのこと、歯科医師、ヘルパー、入浴サービスの方、巡回訪問サービスの方、理学療法士などです。連携を深めることでよりよいサービスの提供がなされるのです。

ここ数ヵ月の1ヵ月当たりの訪問件数は平均350回です。1日の訪問件数も3〜4件になりました。現在も新規の申し込みをいただいております。私もご利用者やご家族の「家で過ごしたい」「家で過ごさせたい」という思いを伺うたびに、一緒に在宅での療養をお手伝いさせていただこうという気持ちを新たにします。

これからもより看護の質を高め、利用者の立場にたって看護サービスを提供していくことが大切な役割だと思っています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION