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訪問看護 ステーション千代田から26]

 

『知っていますか、サービス担当者会議』

訪問看護婦 池田洋子

介護保険が始まって5ヵ月が過ぎました。ステーション千代田のご利用者のほとんどがそれまでの医療保険から介護保険へと変わりました。また介護保険開始と同時に新たにステーション千代田のご利用者となられた方もいます。ケアマネージャーがケア計画を立てるときその方に訪問看護が必要であると考え紹介してきたり、ご利用者自身やご家族が訪問看護サービスを受けたいと希望されるのです。このように介護保険では、ご利用者本人やご家族の希望が反映されてサービスを受けることができるのです。

在宅療養のサポートにはあらゆる職種の人々が関わります。訪問看護婦、主治医、ホームヘルパー、理学療法士、在宅介護支援センターの相談員、保健婦、そしてケアマネージャーなどです。これだけたくさんの職種が一つのチームになって利用者を支援していきますので、連携はかかせません。しかしサービスを提供する時間もまちまちですから、顔を合わせることもなかなかありません。そこで利用者のお宅に共有ノートを置いて、それに情報を記録しておいたり、電話やファックスを利用して連絡を取り合ったりしています。しかし、これだけでは不十分なことも起きてきます。その問題解決のために、ケアマネージャーを中心としたサービス担当者会議というものがあります。

利用者の状態が変化したり、また介護状況が変化したときには、その方へのサービス計画はよりよい介護のために計画が修正されます。するとケアマネージャーはそれぞれの職種にサービスの変更を伝えていきますが、時間もかかりますしそれぞれの職種の意見交換もされず、よりよいサービス提供には無理が生じてきます。そこでサービス提供する人たちが集まり、利用者のために最もよい方向は何なのか、そのためにはどのサービスをどれだけ提供すればよいかを話し合うのがサービス担当者会議です。

今までも必要性を感じながらも、介護保険開始の混乱でなかなかこの会議を持つまでには至りませんでした。多職種が集まる時間を確保することが困難だったこともあります。それだけ混乱していたわけですが、先ごろこの会議を開きたいとケアマネージャーから連絡がありました。ご利用者は在宅療養をしていましたが、先日病状が変化して入院し、近々退院が予定されています。同時に在宅での医療行為が必要となりますが、それまでのケア計画が大きく変更されることとなり、サービス担当者会議が持たれることになったのです。

会議当日は主治医、保健所の在宅サービス担当者、ヘルパー、訪問看護婦、ケアマネージャーが出席しました。昼間はそれぞれ業務がありますので、会議が始まったのは夕方の6時半でした。ケアマネージャーからご利用者の病状変化とその後の経過が説明され、さらにご利用者とご家族の今後の在宅療養への希望が説明されました。この会議が開かれることは、ご利用者とご家族の了解を得ての上です。会議では今後の予測される病状変化についての主治医の意見を聞き、必要なサービス内容を確認し、それを提供する上で必要となる情報について共通の見解を持ち、不足している情報も確認し、また早急にその情報を得る方向で話し合いがされ、チームが共通の目標を持つことができ、お互いの連携についても確認をとることができました。これらはすべてご利用者に安全で確実なよりよいサービスを提供するためですし、そのためにケアマネージャーはじめサービス提供者も会議を持ち努力しています。

介護保険はまだまだ混乱しており、またデメリットばかりに視点が向けられることも多いのですが、決して悪いことばかりではありません。よりよいものにしていくのは、専門職ばかりでなく、ご利用者自身でもあります。そのためには介護保険を理解し、上手にケアマネージャーを利用していただきたいと思います。

 

 

 

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