ホスピスニュース
2000.5 No.168
財団法人ライフ・プランニング・センター
ピースハウスホスピス
〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1000-1
TEL(0465)81-8900(代) FAX(0465)81-5520
ピースハウスボランティアの活動から
ピースハウスでは、開院と同時にボランティア活動も始まり、以来7年、ホスピスケアの一員としてかかわってこられました。その活動の一部をご紹介いたします。
月曜日 Sさんのさくら
月曜日のアートプログラム「押し花」の時間は、みんなの歓声でにぎやかになります。
1月中旬のその時間はいつにも増して、とても華やいだものでした。テーブルの上には、ピンクの小さな桜の花。この桜は、一月ほど前にSさんの所に沢山送られてきました。かたいつぼみをいっぱいつけた寒桜の枝をあちこちに活けて、みんなで開花を心待ちにしてきました。そしてお正月、待ちかねたように咲き始めたこの桜の花を、丹念に押し花づくりにあてました。
Sさんは、まだ30代の男性です。色紙の上に枝を置き、一輪一輪花を咲かせて、満開の見事なさくらを作り上げました。その色紙は、この桜の贈り主の所に送り届けたいというのです。
ご主人の付き添いの合間に参加された奥様たちも、初めての色紙づくりに挑戦しています。お見舞いのお嬢さんは、ハガキに花をかわいらしく散りばめました。その一つ一つが出来上がるたびに、「うわ、素敵」「いいわねえ」と歓声があがります。
けれどもこの次の週には、Sさんは「押し花」の場に出て来られませんでした。IさんTさんの奥様たちは、それぞれに、すてきな額に色紙を納めて「これをずっと大事にするわ」と見せに来て下さいました。私たちボランティアにとっても、この日のこと、この桜のこと、忘れられない大事な思い出になっています。
原田啓子
火曜日 礼拝
火曜日11時は礼拝の時間です。5分前から流れるオルガンの前奏を合図に、ホールに来られる患者さんやご家族を、チャプレンが入口でお迎えします。礼拝はキリスト教信者やキリスト教に関心のある方々のために行なわれますが、どなたにもわかりやすいように、形式にとらわれることなく、出来るだけわかりやすくやさしい言葉で進めます。人と人、人と神との交わりの中で神を賛美し、そのよろこびを分かち合うことによって、患者さん、ご家族、またピースハウスで働くすべての人々の上に、安らぎがありますようにと願い祈ります。ホールからはいつも富士山が見えます。快晴の空に雄々しく聳え、あるいは薄霞の中にやさしく佇む富士山に見守られながらの静かなひととき。チャプレンご自身の体験の中から語られるお話や、声を合わせて歌う賛美歌の言葉は、参加している人達の心の中に、何かしらひとつの光を残してくれているようです。
参加はもちろん自由です。ホールにいらっしゃらなくても、お部屋のテレビでご一緒される患者さんもおられます。モニターテレビのカメラに向かってチャプレンが声をかけます。「お早うございます。今日はいかがでいらっしゃいますか。」
山下いづみ
水曜日 ケアボランティアの仕事を通して
これまでは、全く見ず知らずの患者さんの最期の大切な時に、何を希み、何を必要としていらっしゃるのか。それを感じ取るには、「常に感情を磨き直感で動きなさい。」と学んできましたが、現実にその場に直面すると、その大切さ難しさを思います。どう言葉かけをしたらよいのか分からない時、力のない小さな自分を認めざるを得ません。「心の中から自然に出てくる感情に従い、相手の響きを感じ、黙して聴きなさい。これが一番大切、後でも先でもなく共にいる。一緒に息をし、一緒に苦しみ、その心を感じる。」これはモンティニー先生の言葉です。痛みや吐気で苦しんでいる方、さみしい思いで眠れずにいらっしゃる方、その方々が本当に必要とされていることは何か、患者さんの発する沢山のメッセージを感じとり、また不安を与えないためにも、技術の修得と訓練を積み重ね、ホスピスケアチームの一員としての役割を担っていきたいと思います。
川上直美
木曜日 フレンズショップについて
ピースハウスの中には、沢山の方々に支えられ、運営されているフレンズショップがあります。毎月、押し花のしおり、葉書を作って下さる方、手作りの袋物を届けて下さる方、ご遺族も、入院中ほしかった物を、わざわざ送って下さる方がいます。毎月、献品とディスプレーを担当して下さるサポートチーム、ていねいな手作り品を届けて下さる府中花水木、心のこもった品々が飾られています。