●ホスピスケア(緩和ケア)とは何でしょう●
緩和ケアの“緩和”とは、英語のpalliateを翻訳した語で、“なごめる”という意味をもちます。
時に癒すが、
和(なご)めることはしばしばできる。
だが、
病む人に慰めを与えることはいつでもできる。
この言葉は、16世紀のフランスの有名な外科医アンブロワーズ・パレが言ったといわれていますが、「医学は病気を治療するだけであってはいけない。病状を和らげることも、そして病む人のこころを慰めることにも意を用いるべきで、とくにあとの2つ(和めることと慰めを与えること)は医療がいつでも提供できるはずのもの」という意味です。このことは医療にかかわるだれもが深く思い返してみなければならないことです。
ホスピスケアでいちばん重視されることは、身体的な痛みの緩和はもちろんですが、心理的・社会的痛みにも対応し、スピリチュアル(生きる意味を問ういのちの源)なところにも目を向けていこうとする医療者や家族、ボランティアなどの姿勢です。
ピースハウスでは、病いをもつ人のいのちを支えることに力を尽くしています。
●すべて自然体のままに●
ピースハウスが一年一年とその歩みを重ねながら、再確認できたことがいくつかあります。
その一つは、死はだれにでもくるものであるということ、そして死は怖いことではないということの共通した理解です。わたしたちが怖れているのは、死の前後におこるかもしれないと思う想像のつかない痛みや苦しみと、これまでの自分の生涯を改悛(かいしゅん)する思いなのです。