病気を治療するときは、どのような原因で病気が起こり、現在どのような状態なのかについて正確に診断することが必要です。
病気の経過や訴えなどから腹圧性尿失禁と考え治療した患者さんの中で難治性のときには、詳しく膀胱の圧力などを測定する検査(尿流動態検査)が必要となります。というのは、「おなかに力を入れたために起こる尿もれ」にも2つの型があるからです。1つは出産回数の多い人によくみられる尿道を締める力が弱くなったために起こる尿もれ(真性腹圧性尿失禁)、もう1つは咳などの腹圧を加える運動が誘いとなって膀胱の筋肉が尿意を伴わないで収縮するために起こる尿もれです(不安定膀胱)。腹圧が加わったための尿もれといっても、真性腹圧性尿失禁は尿もれの原因が尿道にあり、不安定膀胱の尿もれの原因は膀胱にありますから、治療方法は異なります。
先に述べました尿もれの原因を図示しますと図8のようになります。