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18-19歳代の女性の6.8名に対して1名、40歳代では2名に対して1名の割合で尿もれがあるという結果は、驚くべき出現率です。

表2-1に、欧米の尿もれ調査報告をまとめました。欧米からの一部の報告に高率の発生頻度が報告されていますが、およそ30〜40%であり、私たちの調査結果と比べて差がないことがわかりました。私たちの調査以後、わが国でも尿失禁出現頻度について数多くの報告がなされてきました(表2-2)。これらの報告をまとめると、「尿もれのために下着の交換が必要な状態」、すなわち治療を必要とする程度の尿もれ状態は、健全な社会生活を営んでいる65歳以下の女性で10%に認められ、65歳以上の男性では7〜10%前後、女性では15〜20%という結果でした。

この尿もれを起こす因子として何が関係しているかを調べたところ、出産と年齢が関係していることがわかりました。

若年層では未産婦が多く、高齢者では経産婦が多いため、出産の尿もれに及ぼす影響を未産婦と経産婦がいる20歳代と30歳代で調べたところ、経産婦に明らかに尿もれが多いこと、出産回数が増えると尿もれの頻度が高くなることがわかりました(表3)。

日本人の出産回数は2回が多いので、2回出産女性の年齢別出産頻度を調べたところ、加齢に伴い尿もれ頻度が増加することがわかりました。

尿もれの発生動機を調べたところ(表4)、多かったのは1]くしゃみ、2]咳、3]重い荷物の挙上、4]大笑いの順でした。しかし、2つ以上の記入があった誘発動機を加えますと、縄とび、歩行走行が多くなりました。このことは、尿もれの出現頻度が増加する30-50歳代の年齢層は、母親として子供たちと一緒に縄とびやかけっこをする時期にあたり、地区の運動会やバレー、テニスなどの競技にも参加して楽しむ時期にあたります。私たちの調査結果から、尿もれのためにこれらのスポーツができないという悩みをもつかなりの数の女性のいることが推測できます。

 

 

 

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