日本財団 図書館


システムに立脚したPOS

 

医師やナースには優れた臨床能力が必要ですが、それを支える最新の情報として信頼性のある研究論文やマニュアルが必要です。そしてこの2つに加え、患者がどのような立場や境遇にあるのかといった条件によって、実際に患者にどういう問題解決技法を適用できるかが決まってきます。問題志向型診療記録を作成する場合には、病院全体の医療システムが問題解決型になっていなければなりません。それと同時に、チーム医療の中に一つのシステムがなければならないということがわかってきました。

プラトンは2500年前に「自分の仕事の中にあるシステムの価値について、深い確信をもって行動しなさい」と述べています。ウィリアム・オスラーは100年前に、医療の問題を処理するためにはシステム化が必要であることを強調しています。これを英語では"virtue of method"と表現します。vitureという言葉は非常に奥深い意味をもっています。「方法論の確実さの美徳」とでも訳せるでしょうか。

 

診療録の透明性

 

インフォームド・コンセントや医療事故に際しては、診療記録開示に対応できるPOSでなければなりません。それを実践する哲学としては、すべての医療行為の中に透明性があるようにすべきであることを強調したいと思います。私たちは、自分の責任を逃れるのにものごとを隠すということをやめて、誰にでも見てもらえるような診療記録を書くようにしなければなりません。これが本当の良心的医療というものです。誰に見せてもよいようにうまく書くというのではなしに、そのまま第三者に真実を見せられる透明性のあるものにすることが本来の記録であると私は考えます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION