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ケアからみたPOSの構成

 

プロブレム・ソルビングは、医師、看護婦、薬剤師、その他のコメディカルたちが共に参与することによって、患者は全人的な扱いを受けることになります。これは医療だけでなく、介護にも活用されます。

POSの構成をケアという概念から活用するとどうなるかについてお話ししましょう。

まず、「介護」を英語ではどう表現するか考えてみて下さい。英語には介護という特別な表現はありません。医師の行うケアはメディカル・ケア、看護婦によるものをナーシング・ケア、そして家庭で家族がするものをホーム・ケアというように表現しています。これらはすべてケアという広い傘の中で混じりあって存在しています(図7)。その中に患者も交えて、医学的立場のPOMRを作って、診断と治療を選択して実行するわけです。医師の取り上げるプロブレムには、狭い医学的問題だけでなく、生活・心理・社会的問題も含まれます。したがって、患者の生活像はナースと協力して要領よく書き上げられるべきです。ナースは日常業務としてバイタルサインをはじめ、疼痛の度合いや嘔吐とか、下痢状況、さらに食物の摂取状況を記載します。またリハビリテーションというとPTの業務と考えやすいのですが、脳卒中を発病した翌日からリハビリテーションはナースによって始められなくてはなりません。それらのケアが効率的になされるためには、クリニカル・パスの導入も必要です。そしてそれが家庭に延長される場合に、介護者やヘルパーは訪問看護婦の指導下に患者の訴えを上手にナースに伝達し、食事を介助し、服薬、排泄、さらに入浴の介助やリハビリテーションにも参与し、またある程度のバイタルサインのチェックは介護者にも必要となります。それをナースは評価して患者のQOLに反映させていくことが必要です(表6)。

 

 

 

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