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私たちがこれまでのやり方をそのまま踏襲して患者に与薬したり、手術を行ったりすることは避けなければなりません。ことに老人の場合には、普通の成人に行う医学的措置では不確定な症状が起こりやすいものです。その不確定な体の反応に対して、これは最新の薬剤だからというような理由で使用したりすると命とりになることが決して少なくありません。今後のPOSは、プロブレム・オリエンテッドから、ペイシェント・オリエンテッドに移るべきです。それと同時に、またアウトカム・オリエンテッドでなければなりません。シェークスピアが『終わりよければすべてよし』という戯曲を書いていますが、私たちは、人生の途中でつらいことがあって、崩れることがあっても、人生の終わりをよいものにしなければなりません。レオナルド・ダ・ヴィンチもまた、「十分に終わりのことを考えよ。まず最初に終わりを考慮せよ」といっています。POSもまさにこれらの言葉のように、私たちはスタート時にはすでにエンドポイントを頭の中に描いていなければならないのです。

 

時間や経費の節約に意を用いる

 

また「時・金・資源の浪費(Waisting time, money and resources)」ということにも配慮しなければなりません。目の前の患者の問題解決に無駄な時間とお金と資源とを使ってはいないかということを、POSの過程で反省されなければなりません。患者によき健康をもたらすように主治医(primary physician)として、あるいはプライマリナースとしての業務をいつもしっかり心に抱いていなくてはなりません。いま私たちがやっていることに無駄はないかということをいつもセルフ・チェックすべきです。

 

 

 

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