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また、ある医学校では「精神的」と訳してみたそうです。患者さんに対して「身体的のみならず精神的配慮を」ということで、適訳だと思ったら精神科の先生からクレームがついたといいます。「精神科の専門領域とスピリチュアル・ケアとは範ちゅうが違う。混同されては困る」とのことですが、それは確かにそうだと思います。

では“スピリチュアル”とはいったい全体どういうことなのか。今回のテーマは「スピリチュアル・ペイン」ということでもありますし、まずはこの言葉の意味と背景について原点に立ち戻って確認しておきたいと思います。

 

“スピリチュアル”とは

 

スピリチュアルという言葉はキリスト教の神学用語だといいましたが、WHOの“健康”の再定義案をご覧になった方は「まてよ」と思われたかもしれません。原案には「宗教的な意味でスピリチュアルというのではない」と、わざわざ但し書がしてあるからです。

この但し書は、2つのことを意味していると思います。ひとつには、ある特定の教派や教義に片寄った解釈をしないということ。そしてもうひとつには、これがより根本的なことですが、“スピリチュアル”という用語はこうした但し書を添えざるを得ないくらい宗教的な概念だ、という事実です。

ですからキリスト教文化圏では常識的なことですが、日本のようにキリスト教の伝統が希薄なところでは「どうもピンとこない」ということになります。そこでこの言葉のルーツをさかのぼるためにも聖書に触れなければなりません。

 

 

 

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