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(3) 東京湾内のダイオキシン類分布調査

ダイオキシン類は河川を経由して湾内に流入したり、大気中からばいじんの形で降下してきますが、その海への影響は、河口や港湾区域等を除き全容が明らかになっていないのが現状です。

そこで汚染度合が高いと考えられる東京湾において、水平汚染状況(表層)、経年的堆積過程(底泥の鉛直分布、100数十年分)や発生源経路等について、柱状サンプリングを用い、湾内中央部で選定した地点において、ダイオキシン類の分布調査を実施しました。

調査の結果、表層の水平分布は、3.2〜52pg-TEQ/g-dry(注1)で、運輸省、環境庁で実施された既往調査地点のデータを上回るところはありませんでした。また堆積過程は、1962〜80年の地層に濃度のピークを迎え、最大110pg-TEQ/g-dryの値が測定されました。今後、人為的な浚渫などの底泥攪乱には注意を必要とします。

ダイオキシン類の発生源については、湾奥部では農薬(PCP(注2)、CNP(注3))の影響を、湾口部では、湾奥部と比べ大気及び降下ばいじんの影響を多く受けていることがわかりました。

今回の調査により、東京湾全体のダイオキシン類の分布の状況やその歴史的形成過程、粒経別のダイオキシン類の挙動が明らかになりました。

 

(注1) 乾いた泥1g当たりの毒性等量(Pico Gram - Toxic Equivalents/gram-dry)を表す単位:1兆分の1g

(注2) ペンタクロロフェノール(Pentachlorophenolの略 除草剤に使われてきた)

(注3) クロルニトロフェン(Chloronitrofenの略 初期の除草剤に使われてきた)

 

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採泥作業の風景

 

 

 

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