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2. 地域環境問題の現状

交通部門の地域環境問題として現在最大の問題となっているのが、自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)等によって生じる大気汚染の深刻化です。

NOxは、酸性雨や光化学スモッグの原因となるばかりでなく、二酸化窒素(NO2)は人間の呼吸に悪影響を与えると言われています。また、PMのうち、ディーゼル車から排出されるディーゼル排気粒子(DEP)については、肺や器官への付着により発ガン性、気管支炎喘息等の健康被害が発生することが懸念されています。

こうした中、全体のNOxの4割(特殊自動車を含めると約6割)を排出する自動車を抱える交通部門において、地域環境対策を積極的に推進することが重要です。

 

(1) 自動車における地域環境問題の現状

NOxの主要な排出源として、工場と並んで自動車が挙げられ、ディーゼル自動車が全体のNOx排出量の32%、ガソリン自動車が9%を排出しています。さらに、特殊自動車(建設機械、産業機械、農業機械)からのNOx排出量も全体の19%を占めており、これらを含む移動排出源からのNOx排出量は全体の約65%を占めています。

また、大都市部では自動車交通量の増加に伴いNOxによる汚染の改善が進んでおらず、1998年の大都市部におけるNOxに係る環境基準の達成割合が、一般環境大気測定局(以下「一般局」という。)で74%、自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)で36%にすぎない等深刻な状況が続いています。

浮遊粒子状物質(SPM)は、工場から排出されるばいじんや、ディーゼル車の排出ガスに含まれるものですが、大都市部を中心にSPMによる汚染の改善が進んでおらず、1998年の大都市部におけるSPMに係る環境基準の達成割合は、一般局で34%、自排局で12%にしかすぎません。

 

環境基準適合状況の推移

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(注)

一般環境大気測定局:住宅地等の一般環境に設置されている大気の常時監視測定局

自動車排出ガス測定局:道路沿道に設置されている大気の常時監視測定局

 

 

 

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