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別紙(1)

P01 定期コンテナ船による二酸化炭素モニタリング

○小川完・坂井武久(気象庁)北尾隆・太田秀和(関西総合環境センター)

服部純一(交通エコロジー・モビリティ財団)

キーワード:二酸化炭素・篤志観測船・北太平洋

 

はじめに

気候変動の監視と予測のために、海面における二酸化炭素フラックスを算出可能な広範囲かつ高頻度の観測データが必要とされており、その観測プラットホームとして篤志観測船に期待がかけられている。

交通エコロジー・モビリティ財団では、平成10年度から「一般商船による北太平洋の温室効果ガスの観測システムの構築」を実施し、一般商船に搭載可能な二酸化炭素(ρCO2)観測システムの開発を行うとともに、北太平洋を横断して定期運航しているコンテナ船にこのシステムを搭載し観測を開始した。

篤志観測船

篤志観測船の選定は(社)日本海難防止協会の協力により行い、日本と北米東岸間をパナマ運河経由で定期的に運航しているコンテナ船「ありげーたーりばてい」(42,121トン)に依頼した。1999年は年間4回、日本〜パナマ間で技術者1名を便乗のうえ観測を行う計画である。

観測装置

ρC02観測装置、航走水温塩分計、GPS測位装置を居住区にあるエアコンユニットルームに設置した。ρC02観測装置は、気象研究所タイプを採用し、海水中二酸化炭素測定のための平衡器はシャワー方式とした。

検出器には非分散型赤外分析計(BINOS MLT3)を使用している。その他無人での運転時間に対応するために、漏水等緊急時にシステムを停止する安全対策を施している。

試料海水は、船底(海面下約11m)から揚水されるエアコンユニット用の冷却海水を分岐し平衡器へ導入される。

大気試料の取り入れ口は、航走中に排気の影響を受け難い船橋部フライングデッキ(海面上約30m)に取り付けた。海水及び大気試料は1時間毎に測定され、濃度はWMOスケールで検定された4種類の標準ガス(約270, 330, 360, 410ppm)による検量線から算出する。

航走水温塩分計はシーバード社SBE21を用い5分間隔で測定値を記録。なお取水部の水温は、船底部取水配管に断熱処理をして貼付けた温度センサーにより測定し、バケツ採水による測温結果により較正した。

GPSによる測位信号は随時ρCO2観測装置、航走水温塩分計に送られ記録される。

 

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図1 1999年1月〜2月に行われた第一回観測の航跡。

 

観測結果

本観測システムによる1回目の観測航海が、東京〜パナマ間(1999年1月23日〜2月9日)で行われた。図1に航跡図、図2に大気及び表面海水中の二酸化炭素濃度、海面水温の経度分布を示す。

大会時には5月、8月に実施する観測の結果についても合わせて紹介する予定である。

謝辞:本観測を行うにあたり、「ありげーたーりぱてい」乗組員の皆様、船主である株式会社商船三井、船舶管理会社であるエムオーシップマネージメント株式会社に多大な協力を頂いている、ここに厚く御礼申し上げる。

 

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図2 海面水温(上図)、大気中二酸化炭素及び表面海水中二酸化炭素(下図)の経度分布

 

 

 

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