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第2章 観測システムの開発

 

本観測システムの開発の目標は、高精度のデータを取得することができること、および研究者ではない便乗観測者による保守管理を可能とすることとした。

 

2.1 観測システムの要件

 

本観測システム開発にあたっては、次の3点を設計思想の柱とした。

 

1) 観測船と同等な分析精度を維持した観測システム

国際的に利用可能な観測データを取得できるようにするため、観測船と同等な分析精度を維持した。大気・海水の二酸化炭素濃度測定に関する目標精度はそれぞれ0.1ppmv、1ppmvである。

2) 搭載している一般商船への負担を最小限に抑えた観測システム

観測システム設置スペースや消費電力など物理的に船側にかかる負担を可能な限り軽減して、本観測システムの運用が本船の運航に影響を及ぼさないよう配慮した。

3) 「船舶」「観測装置」「取得データ」の保護と安全に配慮した観測システム

観測システムにトラブルが発生した際、常に研究者が観測状況を保守している観測船とは違い、一般商船の場合では、その発見および初期対応が遅れる可能性があるため、トラブルによる悪影響が懸念される。そのようなトラブルを未然に防ぐとともに、「船舶」「観測装置」「取得データ」の保護と安全を確保できるようにした。

 

2.2 観測システムの構成

 

本観測システムは、二酸化炭素測定装置をメインに水温塩分測定装置および船位測定装置により構成される。水温、塩分および船位のデータは、二酸化炭素のデータが得られた時の環境を示し、二酸化炭素のデータ解析上必要となる海洋観測の基礎項目である。観測システムの概略を図2.2-1に示す。

 

 

 

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