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4. 海上輸送システムの事業化に向けた課題

(1) 事業化に向けた法的課題

家電リサイクル品の海上輸送システム事業化の課題として第2章2.で検討した「海上輸送システム構築上の法的問題」から以下のことがあげられる。

○家電リサイクル法が施行されなければ、指定引取場所からリサイクル工場までの家電リサイクル品の輸送に海上輸送システムを利用するには、港湾地区に設置する指定引取場所の積替・保管の許可、本船の廃棄物収集運搬の届け出、船積卸港湾荷役の許可、搬出・入の許可など、廃棄物処理法及びその他関係法の許可の取得が必要になる。

○しかしながら、家電リサイクル法の特例措置により指定引取場所からリサイクル工場までの輸送は、製造業者が設立する廃棄物処理施設の許可を環境大臣から得ることを条件に、製造業者が委託した業者は廃棄物処理法上の許可を得ることなく、輸送の業につくことが可能になる。この特例措置によって、これまでの廃棄物処理法などの許可取得が困難、事務処理に多大な労力を要するなど、事業化するための制約はかなり解消された。

○このような特例措置が実施されることになったが、指定引取場所は廃棄物処理法の積替・保管施設の基準が適用されるため、本調査で検討した海上コンテナを利用した海上輸送システムでは施設運用面の課題として、1]1本のコンテナの保管に広いスペースが必要、2]飛散防止のためにコンテナ全体が入る施設が必要、など以下にあげる廃棄物処理法上の規制が残っている。

 

・一般及び産業廃棄物の積替・保管施設の構造は、囲いを設けない場合には1本のコンテナのために約12m×16mという大きな空地がいる。囲いを設ける場合はコンテナ全体が入る規模の施設が必要である。この保管場所の基準は廃棄物の飛散等による汚染を防ぐ目的のものである。

・保管場所で保管できる量の上限として、保管場所が一日に搬出する平均的数量の7倍という基準がある。船舶に産業廃棄物を積載するための積替・保管に関しては例外規定があり、船舶の積載量の1.5倍まで緩和される。

 

○参考として、廃棄物と鉄道コンテナの駅頭での取扱は次のとおりである。

 

・鉄道コンテナ輸送では、駅頭での廃棄物のコンテナへの積込は一部を除き許可を取得していない。

・自治体による貨物駅の積替・保管の許可は、コンテナ単位での積替・保管として取得。但し、コンテナ単位であることを明示しているのは東京都だけである。

 

 

 

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