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3. 海上輸送システムの評価

(1) 海上輸送システムのメリット

本調査による実証実験で得られた成果と一般的な特性から家電リサイクル品の海上輸送システムを総合的に評価すると以下のとおりである。

 

○メリット

・CO2排出量は陸上トラック輸送を100とすると内航コンテナ船輸送が37、台船輸送が27、フェリー輸送が74となり、海上輸送の地球温暖化に対する負荷が少ない。

・海上輸送は陸上トラック輸送など陸上走行距離が長いほど、大きな振動衝撃が多くなっており、貨物に与える振動衝撃の影響は海上輸送の方がかなり少ない。

・港湾地区に隣接した指定引取場所からリサイクル工場まで家電リサイクル品を海上輸送することで、指定引取場所又はリサイクル工場の周辺道路及び指定引取場所からリサイクル工場までの幹線道路のトラック走行量が削減され、トラック走行による排出ガス、騒音、振動などの道路交通公害、道路混雑の解消が期待できる。

・トラック1台が1度に輸送可能な貨物量は5〜15トンであるのに対し、内航船1隻では3,000〜5,000トンが輸送可能であり、大量輸送に優れているとともにトラック走行量の減少に有効である。

 

その一方、以下のようなデメリットがある。

 

○デメリット

・小口多頻度、短距離輸送では輸送効率が低下する。

・船舶の航行速度が遅い、港湾での積替作業やトラックによる端末輸送が伴うなど、リードタイム・輸送時間が長くなる。

・港運業者、海運業者、陸運業者など多段階の委託が必要になり、手続きが煩雑になる。

 

ここであげたデメリットのうち、小口多頻度輸送、リードタイム・輸送時間の延長については、廃棄物輸送の時間的制約が比較的緩いという特性から大きな障害とはならないと考えられる。

実証実験の結果、海上輸送システムは家電リサイクル品の積卸作業性、コンテナの荷役作業性、コンテナの積載率などの荷役作業、効率の面で、陸上トラック輸送によるシステムと遜色ない輸送レベルにあることが実証できた。また実証実験データなどに基づき、神戸港から北九州の区間についてCO2排出量を積算した結果、海上輸送システムは陸上トラック輸送の1/4〜3/4になり、環境負荷低減に有効であることが確認できた。

 

 

 

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