5. 環境達成度自己評価ガイドの枠組みおよび体系案の検討
5.1 環境達成度自己評価ガイドの作成に当たっての基本的考え方
(1) 環境達成度自己評価ガイドの目的と検討に当たっての留意点
環境達成度自己評価ガイド(以下、「自己評価ガイド」という)の作成の目的は、環境への取組とその達成度を自己評価するための手法を提供し、その普及を通じてトラック運送事業者の環境保全活動を促進することである。
本報告書「2. トラック運送業の業態の整理」の結果等を踏まえて、自己評価ガイドを普及するためには、次のような点に留意し検討する必要がある。
1] 中小・零細企業が大半をしめるトラック運送業界での環境保全への取組の裾野を広げるとともに、そのボトムアップを図る。
2] 中小・零細企業が大半をしめるトラック運送業界における事業者特性、すなわち環境問題への取組に対する充分な経営資源の投下が難しい等を加味し、できるだけ簡易でコンパクトな枠組みとする。
3]トラック運送事業者は中小零細企業が圧倒的に多いので、運行日報等の既存資料(資料3参照)を活用する等、事業者が取り組みやすい内容とする。
(2) 環境パフォーマンス評価と自己評価ガイド
今回検討する自己評価ガイドは、環境パフォーマンス評価(以下、「EPE」という)の考え方を取り入れて作成する。
EPEは、組織(自己評価ガイドを念頭において、以下、「企業」という)がその環境パフォーマンスを評価するための手法であり、国際規格ISO 14031として発行されている。EPEの手法は企業が環境マネジメントシステムを持っているか否かにかかわらず利用できるため、環境マネジメントシステムの構築が困難な企業が自らの環境パフォーマンスを把握し、取組を進めるための手法として活用するのに適している。
EPEは事業活動の結果である環境パフォーマンスが、自ら定めた基準を満たしているか否かを、企業自ら判定するための内部プロセスおよびツールであり、信頼でき、検証が可能な情報を継続的に提供するよう立案されている。
EPEは図5.1-1に示すフローによって実施される。
具体的には、企業が自らの環境パフォーマンスを評価するための指標を選択し、その指標をもとにデータを収集・分析し、環境パフォーマンス基準に照らして評価し、報告・コミュニケーションを行い、さらに、このプロセスを定期的に見直し、改善することで、企業のパフォーマンスに関する経営判断を支援する一連のプロセスである。