3.10 視認性調査のうちウェブ調査について
コンピュータで作成された画面資料を用いた試験の場合での視認性試験は、コンピュータの性能の程度によって評価が左右されることを配慮しなければならない<JIS S 0102-2000 消費者用警告図記号−試験の手順 解説2.3e>。結果的には、視認性のカーブが、やや低めながらほとんど同様に変化していることから、限界はあるが、傾向は読みとれると考え、参考資料として扱うこととした。
また、この方法は、用紙によるアンケートに代わり将来性を見据えた方法としてISO図記号委員会でも推奨しており、以下のメリットが期待できる。
・データ処理の即時化
・再入力が不要
・経費(郵送費、交通費等)の節減
・遠隔地からの同時回答が可能
・自主参加型調査が可能
次に、コンピュータの特性を記す。
1) 基本的な解像度
一般に、画面上で「紙の印刷」と同等の見え方を実現するには300ppi (pixel per inch)程度の解像度が必要とされるが、現在、最高レベルのモニターでも166ppiであり、紙の印刷物の画質には到底及ばない。
2) モニターの特性
モニターには、にじみ、明るさ、フォーカスなど、紙の印刷物に比べて不利に働く要素が多い。
3) 表示の大きさ
今回は、紙で8mm四方の図記号を32×32ピクセルで17インチモニターにSXGA (1280×1024ドット)の解像度で表示した場合、8.1mm四方となるよう設定した。従って、これより小さいモニター、または高解像度で見た場合は紙より小さく表示される。(今回の回答者は17インチ以上のモニター37%、15インチモニター60%であった)
4) 視距離
パソコン使用時の画面までの視距離が一般的に400〜600mm程度に対し、紙の場合は見やすい距離に随時調整したと思われるので、その点も不利に働く。