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第1章 調査研究の目的と概要

 

1. 調査研究の目的

 

本調査研究のテーマである一般案内用図記号(以下、「案内用図記号」という)とは「対象物、概念または状態に関する情報を、文字や言語によらず、見て分かる方法で伝えるための図形」で、具体的には方向を示す矢印や男女を表す人の形、電話を表す図形のことを示し、交通施設や観光施設等の公共的な場に広く利用されるものを指す。

日本では1964年の東京オリンピックに用いられ、以降、鉄道、空港、バス、フェリー等の公共交通機関やホテル、観光施設や博覧会等のパブリックスペースで大変重視されてきたが、未だ標準化(JIS化)された案内用図記号はなく、各社あるいは各団体が各々に定めて整備を進めているのが現状である。一方で、社会の変化により利用者のニーズが多様化し、バリアフリーの観点からも、こうした図記号の必要性が高まっている。また、2002年にはFIFAワールドカップ開催により外国人観光客が多数来日することが見込まれていることから、アルファベット表記の少ない日本において、早急にこれら案内用図記号の統一化を進めることが望まれている。

そこで、まずこれら国内の公共交通機関とパブリックスペースにおける案内用図記号について関係者の合意を得て国内統一基準を策定し、次に国内標準化(JIS化)を図ることとした。また、外国人も対象となるため、国際的な総合調整(IS化)も併せて検討することを本調査研究の目的とした。

 

以上の要請を受け、交通エコロジー・モビリティ財団では「一般案内用図記号検討委員会」(以後、「検討委員会」という。)を設置して、平成11年4月より2年をかけて、案内用図記号の統一化に向けて検討を進めた。

検討委員会は、国土交通省、経済産業省、文部科学省、警察庁、消防庁をはじめとする行政機関、交通事業者、観光・流通事業者団体、消費者団体、障害者団体、学識経験者、デザイナー等、省庁や団体の枠を越えた広範囲の構成となった。はじめの1年間は、一般案内用図記号の国内外事例の収集、カテゴリーの分類、表示事項の選択、図材の選定等の作業を行い、続いて、体系的に新しく造形をし直し、平成12年6月に128項目の原案を策定した。その後、ISO及びJISの調査方法に準拠した理解度及び視認性調査により原案の適正度を評価し、平成12年10月に開催された第2回本委員会で90項目を確定し、平成13年3月1日の第3回本委員会において、原案のうち計125項目を「標準案内用図記号」として決定した。

また、平成13年4月からは、標準案内用図記号のJIS化に向けて、(財)日本規格協会に「案内用図記号JIS化検討委員会(仮称)」を設け、検討を行う予定である。

 

 

 

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