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II-4-4. 接遇方法の問題点とニーズ

1] 介助者が同伴していない場合しか介助してもらえない(高齢者、車いす使用者)

2] 介助の際に脇を持たれると杖を使えないので、衣服の袖の部分を持って欲しい(杖を使用する下肢不自由者)

 

接遇方法についての問題点については、あまり聞かれなかった。多くの離島航路では前述のように旅客船の乗務員、同乗している他の客の多くは「顔なじみ」であるケースが多く、高齢者や障害者等の中でも海上交通を利用する機会の比較的多い人にとっては、お互いに接遇・介助の方法について理解しているといった状況である。

しかし、船員の数も少ないため介助者がいる場合には十分な介助が受けられないといった不満も聞かれた。介助者が同伴している場合においても、たとえば車いす使用者では一人の介助者では限界がある。また、介助者自身も高齢であったり何らかの不自由があったりして十分な介助ができないケースも想定されるため、介助者が同伴している場合においても介助の要請があれば介助できる体制づくりが望まれる。

具体的な接遇・介助方法についての意見は、杖を使用する下肢不自由者から脇の下を支えてもらうと杖が使えないといった意見が聞かれた。このように「どこを支えて欲しいか」ということは船員の側でもわからないケースがあり、接遇・介助の際に高齢者や障害者に直接尋ねるといった対応も求められる。

接遇方法についての問題点とニーズについては以上であるが、離島住民にとって定期船は唯一の交通手段であることより、高齢者や障害者の中には接遇・介助をしてもらうことを「自分自身のわがまま」と考え、「わがままを言ってはいけない」といった遠慮をする意見も多く聞かれた。こうした利用者側の遠慮については、具体的な接遇方法についての意見もあり「おぶって介助して欲しい」というのは頼みづらいといった意見が聞かれた。

 

 

 

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