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II-4-2. 旅客船ターミナル利用時の問題点と接遇・介助ニーズ

1] 荒天時に乗降用タラップがゆれて、乗降が不安なため介助して欲しい(高齢者、杖を使用する下肢不自由者)

2] 荒天時に乗降用タラップがゆれて、白杖の位置やつかまる所がわからず、乗降が不安なため介助して欲しい(視覚障害者)

3] 車いすでは乗降用タラップの幅が狭く通過できないケースがあり、介助して欲しい

4] 歩行補助のための手押し車では乗降用タラップの幅が狭く通過できないケースがあり、介助して欲しい(高齢者)

5] 潮位によって乗降用タラップの傾斜がきつく、乗降時に一人で上れないので介助して欲しい(高齢者、杖を使用する下肢不自由者)

6] 浮き桟橋との連絡橋や乗降用タラップの滑り止めで躓きやすいので介助して欲しい(高齢者、杖を使用する下肢不自由者)

7] 乗船券売り場のカウンターの蹴りこみが浅く、車いすで利用できないため手伝って欲しい(車いす使用者)

 

本調査の対象航路の旅客船ターミナルにおいては、船舶の発着直前に乗客が旅客船ターミナルに行き、船舶に乗船しているケースが多かったため、待合室や旅客船ターミナルのトイレ等についての問題点やニーズはあまり聞かれなかった。

最も多かったニーズは乗降用タラップに関わる問題点であり、海上交通特有の要因である「波浪の影響によるゆれ」「潮位差の影響」に起因する問題点が多かった。

具体的には、乗降用タラップが荒天時等に大きくゆれるため、高齢者や杖を使用している下肢不自由者は足元が安定せず転倒や最悪の場合海面への転落の不安を感じている。特に同行している介助者が高齢者の場合は、介助者自身もゆれに対する不安があるため、船員等に介助をして欲しいといったニーズが聞かれた。

また、視覚障害者にとっても乗降用タラップがゆれていると、白杖の位置が動いてしまい方向感覚がわからなくなる、つかまるところがわからなくなるので不安であるといった状況となり、船員等に介助して欲しいというニーズが聞かれた。

乗降用タラップについては、幅が狭く車いすで通過できないといった意見も聞かれた。また高齢者の中には、歩行補助の目的で手押し車を使用している者もおり乗降用タラップを手押し車で通過できないので、手押し車を船員に持ってもらいたいといった介助ニーズも聞かれた。

潮位の影響では、潮位差の大きく浮き桟橋を使用していない旅客船ターミナルにおいては干潮時や満潮時に乗降用タラップの傾斜がきつくなり、高齢者や下肢不自由者にとって独力で上るのが難しいので介助して欲しいといった意見もあった。

一方、乗降用タラップや浮き桟橋との連絡橋には潮位差や波浪の影響により床面がぬれた場合のスリップを防止する目的ではしご状の滑り止めが設置されているケースがあるが、高齢者や杖を使用する下肢不自由者にとっては、躓いて転倒することがあるので、できれば介助して欲しいといった意見も聞かれた。

乗船券売り場は、今回の調査対象旅客船ターミナルでは設置していないケースも多かったが、蹴りこみ部分が浅いため車いすでアクセスできないといった意見も聞かれた。

 

 

 

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